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夏クールのドラマは、事件モノが多い。
春クールから連続の『科捜研の女』や『あなたの番です』を初め、『監察医 朝顔』『TWO WEEKS』『刑事7人』『警視庁ゼロ係』など、GP帯(夜7~11)ドラマでは半分ほどを占めている。
その中にあり『サイン-法医学者 柚木貴志の事件-』は、ちょっと変わった切り口で、テレ朝ドラマの新たな可能性を感じさせる。

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大森南朋/Marunouchi Picadilly Theater, Tokyo, Japan. July 14th, 2012(Yumeto Yamazaki/アフロ)


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■ドラマの魅力

2011年に韓国で放送された医療サスペンス『サイン』。その日本版が、序盤から衝撃の連続で、視聴者を楽しませている。
韓国ドラマのリメイクといえば、坂口健太郎主演の『シグナル』(18年春)も、刑事が無線を使うときだけ過去の刑事と連絡が取れるという、斬新なアイデアで見るものを魅了してくれた。今回の『サイン』も韓国でヒットした医療サスペンスゆえ、大いに期待が高まる。

主演の大森南朋を中心に、松雪泰子・仲村トオル・飯豊まりえ・高杉真宙・木下ほうか・西田敏行らが出演する。若手俳優からベテランまで多彩なキャスティングで、俳優陣の演技も見どころとなっている。

韓国の原作を、政府・警察・法医学者間の癒着を織り込みながら、日本の機関にうまく変換し、社会的背景を考慮した殺人事件の解決を描いている。
事件を通して社会を多角的な視点で見ることができ、単なるミステリーサスペンスで終わらない"濃い味仕上げ"も興味深い。

事件の殺害現場などの回想シーンは、かなり過激だ。
よってテレ朝定番の"刑事ミステリー"ファンには新鮮に映るだろう。今までのスタンダードなミステリードラマからの逸脱は、新たな領域の開拓という制作陣のチャレンジ精神を感ずる。

ドラマ後半の山場は、エキサイティングなデジタル系の音楽でシーンが盛り上げられている。
この音楽を担当しているのが、澤野弘之氏とKOHTA YAMAMOTO氏だ。映画・ドラマ・アニメ・ゲーム・スマホゲームなど、時代の最先端を行く活動ジャンルの広さが、フレキシブルに躍動する音楽演出となっている。
今後の物語の進展の中でも、無限の可能性を大いに発揮してくれるだろう。

■キャスティングの魅力

初回の放送では、特別出演に西田敏行を迎え、圧倒的な存在感と貫禄、説得力のある演技でドラマに深みと重厚感を与えていた。
その信念を引き継ぐかのように、大森南朋が主演という大役を背負い、素晴らしい演技力を見せている。
口は悪いが、誠実で正義感が強く、被害者の家族に寄り添う優しさが、解剖医・柚木貴志の魅力とその役を演じる大森南朋がリンクする。

そして今回、珍しく悪役を演じることになった、仲村トオルの冷徹な演技が面白い。
『家売るオンナ』では、なえた優しい課長を演じ、『ラストチャンス 再生請負人』では、倒れかけた会社を立て直すヒーローを演じていた。
今回はカネと権力を手に入れるためなら、どんな手段も選ばない危険な男だ。スマートでクールな容姿も手伝って、本当の仲村トオルがわからなくなるほど、役にはまっている。

同じくクールなイメージで、初の女性捜査一課長の座を狙う野心家・和泉千聖役を演じる松雪泰子の存在も大きい。昇進のために上からの圧力に屈するか、真実を追求するために刑事魂を貫くか、揺れ動く人間模様を見事に演じている。

注目の若手、飯豊まりえと高杉真宙もフレッシュな風を吹き込んでいる。すがすがしくも勢いのある演技で、ベテラン俳優の中で最大限の力を発揮し、次々と展開していくストーリーの中で、大事なミッションを全うしていると言って良いだろう。

■テレ朝ドラマの新たな可能性

物語の内容とキャスティングの魅力で、新たな視聴者が反応しているようだ。
7月は『科捜研の女』『刑事7人』という伝統的なテレ朝事件モノが放送されている。この2ドラマと比較すると、今のところ『サイン』はF1(女20~34歳)・F3-とM3-(男女50~64歳)の個人視聴率が高い。

また普段は極端に高いF3+とM3+(男女65歳以上)がやや低めだ。
テレ朝ドラマを定番とする固定ファン以外が反応し始めている。今後2層(男女35~49歳)を取り込んでいけるか否かが注目される。
複数の事件が絡み合いながら、スリリングに展開しているゆえ、今後の躍進に期待が高まる。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所

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