小池栄子・りょう・岡本玲が本当にシェアしたモノ~『わたし旦那をシェアしてた』の一番の醍醐味(だいごみ)~

2019/7/24 12:33

日本テレビが木曜深夜のドラマ枠で放送するプラチナイトF。
テーマを明確に絞る結果、掘り出し物の傑作が出ることが多い。"知る人ぞ知る"新たなドラマの可能性を発掘する場でもある。
今クールの『わたし旦那をシェアしてた』も、その1本として興味深い試みをしている。

サムネイル
わたし旦那をシェアしてた (C) ytv


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■読売テレビの意気込み

プラチナイトFはGP帯(夜7~11時)のドラマとは全く異なるテイストだ。コンセプト・切り口・展開がシャープで、かなりキワドイところまで攻める、自由なドラマが多い。
これまでも『脳にスマホが埋められた』『ブラックリベンジ』『リピート』『ブラックスキャンダル』など、あり得ない設定や極端なキャラクターが登場する作品が多かった。ストーリー展開も凝りに凝った作品が多い。
しかも深夜の割に、キャスティングも予算も惜しまず投入する力の入れようが、読売テレビの意気込みを感じさせる。

今クールの『わたし旦那をシェアしてた』も、そんな作品群に一歩も引けを取らない。
主演は小池栄子・りょう・岡本玲。性格もタイプも容姿も全く異なる3人が、同じ一人の男とそれぞれ事実婚関係であったと信じていた。いずれもシングルマザーで"共通の夫"天谷恭平(平山浩行)が遺産として残した3億円の権利を争いながら、恭平がみんなのために建てたシェアハウスで共同生活をしている。

■シェアハウスとドラマ

一軒の家を複数人で共有するシェアハウス。
ここ何年かで増え続けているが、ドラマの世界でも設定として取り入れるものが増えている。『ホタルノヒカリ』『最強のふたり~京都府警 特別捜査班~』『好きな人がいること』『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』などがあったが、『メゾン・ド・ポリス』が最も記憶に新しくて印象的だった。
リタイアした元警視庁の捜査官や鑑識のプロなどその道のトップだったおじさまたちが、一軒の家をシェアし警視庁が簡単に解決できない事件を謎解いていくという、時代の変化も考えられたドラマが好評を博した。

ルームシェアといえば、「貧乏学生が高い家賃を払わなくてもいいようにする制度」というイメージだが、老後の孤立を避けるためだったり、シングルマザーの経済的事情だったり、その用途は時代と共に変化している。

■複雑怪奇な登場人物たちの関係

ところが「旦那をシェアしてた」という考え方は、これまでにない新しさを感じさせる。
例えば一人の男が浮気や不倫をしている場合、妻や不倫相手は、「私たち彼をシェアしたわ」という言い方をすることはまずない。

今回のドラマの中では、主人公の森下晴美(小池栄子)・小椋加奈子(りょう)・藤宮茜(岡本玲)は3人とも、「恭平とは事実婚であった」と主張する。ところが本当の関係は、果たしてどうだったのだろうか。

しかも男だけが亡くなって、残された遺産は3億円に上る。それを「一人の妻だけに与える」と遺言状に書かれていたのだから、プラチナイトFらしく話はこじれにこじれる方向へ向かう。
シェアハウスの管理人・染谷文江(夏木マリ)の存在も興味深く、恭平との関係は謎に包まれている。
また殺人事件を追う刑事・塚本美保(渡辺真起子)の言動も意味深だ。

さらに文江に雇われたシェアハウスの雑用係・松田秀明(赤楚衛二)は、"恭平の殺害を依頼したのは誰か?"という犯人探しのミッションを託されている。3人のシングルマザーと暮らしながら、目を背けていた自分と向き合うことになっていく。

■シェアに潜む矛盾とカオス

"一人の男をシェア"し、シングルマザーであること以外に共通点がないように見える3人の女たち。バラバラの年齢の男女と子供達が共同生活を通して、その先に見えるものは何なのか。
お互いを知り合うことで育まれる人間愛か?
それとも、金欲に溺れた殺人事件の全貌か?

まるで正反対のテーマを同時に解いていく、矛盾とカオスの結末にこそ、たどり着いた時の快感が待っているのだろう。

一体犯人は誰なのか?
本当に愛されていた女は誰なのか?
恭平という男は、何者なのか?

探偵になった気分で、最後まで楽しもう。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所