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最終回を迎えた大森南朋主演『サイン-法医学者 柚木貴志の事件-』。
遺体の声なき声に耳を傾ける法医学者たちが、不都合な"事実"を隠ぺいしようとする権力社会に立ち向かう法医学サスペンスだ。

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テレ朝3ドラマの各視聴率指数


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■キャスティングの魅力

2011年に韓国で放送された全20話の『サイン』は、最終話が25.5%を記録するほどの人気ドラマだった。
その日本版は、主演の大森南朋を中心に、松雪泰子・仲村トオル・飯豊まりえ・高杉真宙・木下ほうか・西田敏行らが脇を固めた。

初回の放送では、特別出演の西田敏行を迎え、圧倒的な存在感と貫禄、説得力のある演技でドラマに深みと重厚感を与えて、物語は始まった。

西田の信念を引き継ぐかのように、大森南朋が主演という大役を背負った。
口は悪いが、誠実で正義感が強く、被害者の家族に寄り添う優しさが、解剖医・柚木貴志の魅力となった。

そして珍しく悪役を担ったのが、冷徹な演技をみせた仲村トオルだ。
『家売るオンナ』では、なえた優しい課長を演じ、『ラストチャンス 再生請負人』では、倒れかけた会社を立て直すヒーローを演じていた。
今回はカネと権力を手に入れるためなら、手段を選ばない危険な男の役割だった。

同じくクールなイメージで、初の女性捜査一課長の座を狙う野心家・和泉千聖役を松雪泰子が演じた。昇進のために上からの圧力に屈するか、真実を追求するために刑事魂を貫くか、難しい警察の現場を好演した。柚木の元婚約者で、警察としての姿とのギャップもチラつかせた。

注目の若手として、飯豊まりえと高杉真宙もフレッシュな風を吹き込んだ。
くじけず食らいつくような、打たれ強く天真爛漫(てんしんらんまん)な女性の中園景(飯豊)は、解剖医として柚木の志を受け継ぐ。そして臆することなくズケズケと物を言うがなぜか憎めない新世代刑事・高橋紀理人(高杉)は、和泉千聖(松雪)の刑事魂を継承した。
ともにすがすがしくも勢いのある演技で、ベテラン俳優の中で存在感をみせた。


■テレ朝ドラマでの新境地

ドラマのテイストとしては、事件の殺害現場や展開などが、かなり過激に描かれた。その分、テレ朝定番の"刑事ミステリー"としては新鮮に映った。
関東2000世帯5000人の属性別個人視聴率を測定しているスイッチ・メディア・ラボのデータでも、その辺りの特徴がよく出ている。

今期GP帯の3ドラマを、『科捜研の女』を基準にみてみよう。
個人全体では、『刑事7人』も『サイン』も大きな差はない。ところが『科捜研の女』の個人視聴率を1とすると、C層(4~12歳)では他2作は0.6前後。小学生でも同様の数字となった。科学にこだわった演出の『科捜研の女』が、科学ミステリーの導入編として良くできている証拠だろう。
実は『科捜研の女』は、65歳以上でも最も見られている。科学に徹した分かりやすさが、高齢者と子供の支持の前提になっているようだ。

一方『サイン』は、1層(20~34歳)や大学生で最もよく見られている。過激な展開や奇想天外な構図が、若い人に良い刺激となっているようだ。
さらに同ドラマは、3-層(50~64歳)や主婦の支持も厚い。韓流のテイストが、これらの層の琴線に触れているのかもしれない。
いずれにしても、今までのテレ朝ミステリーのスタンダードから逸脱している点は、同局の新たな領域の開拓という点で大いに意味があった可能性がある。

■衝撃の最終回

最終回の平均視聴率は12.1%と、初回の14.3%に次ぐ高さで有終の美を飾った。
その原動力は、主人公の柚木貴志(大森)が、殺されてしまうと言う衝撃によるところが大きい。

強大な権力により隠蔽(いんぺい)されようとしていた真実を、自らが殺されることで、自分の体に真実の"サイン"を残して証明しようとした。韓流ドラマらしい、奇想天外な展開だった。

ただし柚木の危険なやり方は、法医学研究院のトップに手段を選ばず上り詰めた伊達(仲村トオル)の方針を変えさせた。柚木を師と仰いでいた中園(飯豊)の、一流の解剖医になる志も強化した。
壮年と若者、主婦と大学生を惹(ひ)きつけた新しさは、こうした過激で意外な手法にあったのかもしれない。
テレ朝ドラマに新風を吹き込んだ最終回は、ドラマの新たな可能性を感じさせた点で意味があったと言えよう。

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文・鈴木祐司 次世代メディア研究所

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