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来週の放送で最終回となる黒木華主演『凪のお暇』。
ここまでの世帯視聴率は10%前後。華々しいとは言い切れないが、この夏はジャニーズや吉本興業などの芸能ネタでビッグニュースがめじろ押しだった。夏休みで大きなイベントもいくつもあった。つまり視聴者がテレビドラマに集中しにくい夏クールで、極めて安定した数字を獲り続けて来た点は大健闘だった。

サムネイル

『凪のお暇』主演の黒木華


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■SNSで高評価

視聴率以外の指標では、つぶやき数が回を追うごとに増え、犯人を予想する"考察"が大ブームになった『あなたの番です』に次いで、圧倒的にSNSで話題になった。

都内の家電メーカーに勤めていた大島凪(黒木華)。
周りの顔色ばかりうかがい"空気を読みすぎる"性格だった。同僚女子のマウンティングや恋人・我聞慎二(高橋一生)のモラハラが原因で、ある日過呼吸で倒れてしまう。
"真面目で優しいが気の弱い"自分をリセットするため、会社を辞め、恋人とも別れ、スマホも家財道具もすべて捨て、東京郊外のボロアパート(六畳一間)で、新しい人生を始めた。

SNSでは初回放送後から、絶賛の声がたくさんつぶやかれた。
「原作の空気を大切にした脚本、テンポ、役者たちの芝居、どれも素晴らしい!!!」
「女子の特有のマウントにやられちゃう凪の気持ちがわかりすぎて泣けた」
「華さん、大好き。芯が強いけど、ふんわりしていて、こんな女性になりたい」

凪をめぐる慎二と安良城ゴン(中村倫也)にも、高評価が集まった。
「素直になれない慎二が可愛すぎてほっとけない」
「慎二の人間くささが好き」
「ゴンさんの色気がただただやばい」
「凪ちゃんに告白するゴンさんがピュアすぎて泣いた」

■3年前の黒木華

空気を読み過ぎる閉塞(へいそく)状況をテーマにした『凪のお暇』で主人公を演ずる黒木華。実は3年前に、新社会人の骨太奮闘物語『重版出来!』で連続ドラマ初の主人公を務めていた。

新米編集者の黒沢心(黒木華)が、一癖も二癖もある編集部員や漫画家たち、営業担当、書店員たちを巻き込み、一丸となって仕事に打ち込む物語だった。テーマは、「本気で仕事するって、カッコいい。生きるって、素晴らしい」だった。

このドラマの視聴率は平均8%。決して良い数字ではなかったが、録画再生でよく見られ、実際に見た人々の評価が高かった。特に実際に組織で仕事をする40~50代に評価されていたが、20~30代にも黒木華を評価する声が少なくなかった。
「小気味よい」
「感動できるドラマ」
「元気いっぱいの黒木華ちゃんを見ているだけで力が湧いてくる」
「見ていてポジティブになれる」

放送当時は2011年の東日本大震災からの復興で、日本が徐々に前を向き始めていた時期だ。
ケガでオリンピックをあきらめた柔道女子が、コミックで世の中を明るくしようと編集者として奮闘するお話が、時代にマッチした点がある。しかも典型的な美人でなく、ややもっさりした黒木華の好演が、視聴者を飽きさせず、元気をもたらしたようだ。

■存在感のバリエーション

もともと黒木華は、12年度下期の朝ドラ『純と愛』、14年上期『花子とアン』で全国的な知名度を上げた。前者では主人公・純(夏菜)と同期のホテルウーマンとして、後者では主人公・花子(吉高由里子)の妹役として、印象に残る演技をみせていた。

しかも『重版出来!』と今回の『凪のお暇』との間では、大河ドラマ『真田丸』(16年)と『西郷どん』(18年)で、いずれも主人公の妻役で登場した。両ドラマとも主役の真田信繁(堺雅人)や西郷隆盛(鈴木亮平)と、互角あるいは主役を食うような好演で好評だった。

ただし以上の4役は、少しずつ性格は異なるが、仕事や家族との向き合いで真摯(しんし)かつ前向きな、黒木華のイメージに合った役だった。
ところが今回は、なかなか一歩前に踏み出せない気の弱い女性の役である。しかも最終回直前で、それまでの人生でたまりにたまったマグマが大噴火するように、ついに本当の思いを思いっ切りぶちまけた。

しかも自分に正直になったがために、凪に次の展開が開け始めた。
ここまで存在感の幅を拡張して演じて来た黒木華が、"お暇"に終止符を打つこととなる次で、何を選ぶのか。その際の演技はどんなテイストになるのか。
黒木華の印象が、またしても強烈となる最終回であることは間違いなさそうだ。

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文・鈴木祐司 次世代メディア研究所

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