山田涼介はアイドルから中高年の癒やしへと進化!?~『セミオトコ』視聴者分析から~

2019/9/24 16:22

最終回を迎えた『セミオトコ』。
主演の山田涼介は、ジャニーズ所属のアイドルとして活躍してきたが、主演してきたドラマを視聴者層で分析すると、『セミオトコ』での彼はもはや子供や十代ファンのアイドルではなく、中高年の女性に癒やしを与えるカワイイ男に変貌しつつある。

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山田涼介主演ドラマの視聴率指数


山田涼介の世界一きれいなキスシーン>>

■ティーンのアイドル時代

山田涼介は11歳でジャニーズ事務所に所属。
14歳で10人組のアイドルグループHey! Say! JUMPを結成した。メンバーには、知念侑李や中島裕翔などがいる。グループ名は「メンバー全員が平成生まれで、平成の時代を高くジャンプしていく」という意味が込められたそうだ。

俳優としては、16歳で連続ドラマ『左目探偵EYE』(10年冬・日本テレビ)に単独主演を果たした。
以後『理想の息子』(12年冬・日テレ)、『金田一少年の事件簿N(neo)』(14年夏・日テレ)、『カインとアベル』(16年秋・フジテレビ)、『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』(18年冬・日テレ)に出演、今回の『セミオトコ』(19年夏・テレビ朝日)につながった。

■主演ドラマの視聴者層

関東で2000世帯5000人の視聴率を調べるスイッチ・メディア・ラボによると、14年夏『金田一少年の事件簿N(neo)』の視聴者で、最も目立ったのはFC(女性4~12歳)。次にFT(女性13~19歳)が来た。
個人全体の視聴率を基準に指数化すると、FCは1.59、FTは1.49で、F1(女性20~34歳)の0.93、F2(女性35~49歳)1.24など、大人の女性より子供や十代のファンが圧倒的だった。
ちなみにF3+(女性65歳以上)では0.46と、高齢女性には極端に見られていなかった。

ところが次作『カインとアベル』になると、FCは0.59と急減した。ドラマが旧約聖書『創世記』第4章に登場する兄弟を下敷きにしていることもあり、小学生以下の子供たちには縁遠い物語だったようだ。
これを機に、FC層は山田涼介主演ドラマでは少数派になっていく。

ただし急伸したのはF3-(女性50~64歳)とF3+。
F3-は1.0から1.8と急伸、F3+も0.46から0.97と倍増させた。中高年ファンを一挙に増やしたのである。

去年冬クールの『もみ消して冬』では、F3+がさらに1.33と割合を高めた。
逆にF2は1.33から1.13と数を減らしており、中高年の占める割合が一層高まった。

そして『セミオトコ』で、さらに大きな変化が起こった。
FTは1.66から0.51と3分の1に急落し、FCも0.2ポイント下げてしまった。ところがF3+は0.1ポイント上げ続け、いよいよF1以下の若年女子は少数派となり、高齢女性が最大の視聴者となったのである。
もはや山田涼介は、若い女性ファンのアイドルではなく、中高年のおばさん・おばあさんたちの愛玩動物的存在と言えそうだ。

■『セミオトコ』の特徴

『セミオトコ』は、1週間しか生きられないセミオ(山田涼介)が、命を助けてもらったさえないアラサー女子・大川由香(木南晴夏)と一緒に暮らし、恩返しをするファンタジーラブストーリー。
「いいことなんてまったくない」と思っていた由香だったが、うれしいことがあると「なんてすばらしい世界なんだ!」と笑顔で叫ぶセミオにより、次第に明るい前向きな女性に変化していく。

ところがセミオは蝉(せみ)が人間に変身しているだけ。
8日目には死ぬ運命だ。アパート「うすせみ荘」の住人は、由香に限らず入居者全員が、この特殊なセミオの存在により変化していく。
大家のくぎこ(檀ふみ)・ねじこ(阿川佐和子)姉妹、デザイナー志望の熊田美奈子(今田美桜)、夫婦で入居する岩本マサ(やついいちろう)と春(山崎静代)、閉じこもり気味の中年・小川邦夫(北村有起哉)などだ。

それぞれが寄り添ってくれる人、あるいは蝉(せみ)のように人間とは限らない存在により、勇気づけられ明日を生きる力を得る。
特に山田涼介の邪気のない明るい笑顔で、人は理屈抜きで前向きになれる。中高年の女性にとっては、特に山田の存在は大きくなっているのだろう。

残念ながら物語で描かれた"ささやかながらも優しく温かい世界"は、ファンが「世界一きれい!」と悲鳴を上げたキスシーンで終わりを遂げた。
ただし6年後に"どんでん返し"が待っており、見る人をハッピーな気持ちにさせてくれた。
特にすごいことが起こるわけではない淡々としたドラマだったが、その巧みな演出と展開に脱帽したい。

山田涼介の世界一きれいなキスシーン>>

文・鈴木祐司 次世代メディア研究所