"分刻み"イズ マネー~『がっちりマンデー』が見せる先端"儲(もう)かりビジネス"~

2019/9/25 12:05

インターネットの強みは"出会い"だ。
当初は人間の欲望をつなぎ、出会わせることで普及していった。やがてビジネスの出会いで、企業に利益をもたらせるようになった。
そしてマッチングが進化し、今や"分刻み"ビジネスが大ブレークしようとしている。

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"分刻み"ビジネスが大ブレークしようとしている


どんな料理も1分にまとめてしまう現場>>

■1分30円が成功の秘訣(ひけつ)

スポーツジムは通常、一カ月いくらの定額制か、一回いくらという料金が基本だ。
ところがジムを1分30円で使える"分刻みビジネス"で、がっちり儲け始めた会社がある。
ナップワンフィットというアプリが鍵を握る。

月額制のスポーツジムでは、例えば月1万円でも、忙しくて2~3回しかいけないと、1回あたりの単価は3300円から5000円と割高になってしまう。
ところがアプリを使って1分30円の利用料にすれば、60分やっても1800円で済む。
月に5~6回しか通えない人にとっては、月額制より断然お得となる。

その会社自体は、ジムを経営していない。
既存のジムと契約し、施設と利用者を出会わせているだけなので、投資がほとんどない。
手数料30%が売上となる。
手軽さが受け、今年5月スタートで既に3000人が登録している。

実はジム側には懸念があった。
事実上の値下げとなって、収入が減ると心配したのだ。ところが実際は、新たな客層の獲得につながり、売上は伸びているという。例えば家族や友人などと一緒に複数でやってくる客が増えた。
ちなみに登録者の支払額が月額会費以上になると、アプリ側が自動的に月額会員になることを勧めてくれる。

上級者にとってもメリットがある。
タイプの異なる別経営のジムを複合的に月10回程度いきたい時、全てのジムの会員となるより安い。
例えばキックボクシング・ボルダリング・エアロビクス・ウエイトリフティングなど、今は特徴のあるジムが増えている。
実際にトランポリンやゴルフの打ちっぱなしなど、ジャンルも広げ始めている。将来的には、年商1500億円を目標にしている。

■駅ナカ15分オフィス

鉄道会社も"分刻みビジネス"に乗り出した
駅ナカ事業として、15分単位で利用できるステーションブースをこの8月からスタートさせた。ちょっと仕事に集中できるレンタルオフィスだ。
内部には机・椅子・Wi-Fi ・電源がある。さらにノートパソコンと接続して、大画面で作業できるようディスプレイも完備している。これで料金は15分で150円だ。

既に2500人が利用している。
取引先企業へ打ち合わせに行く際、あるいはアポとアポの合間に空いた時間に、プレゼン資料を確認したり、修正したりに活用しているという。
また外出中にウェブ会議をする際には、うるさい喫茶店などと異なり、静かな空間となるのでスムーズに議論ができる。

既に新宿・東京・立川・池袋の4駅に導入済み。
来年には30駅に拡充し、年間売上1億円を見込むという。

鉄道会社は今後、人口減少の一途で売上は伸びない。だから飲食店など"駅ナカビジネス"を拡充してきた。
今回のステーションブースは、いったん設備投資をすれば、ランニングコストが安いので、一定程度の利用があれば、利益を確実に生む。さらに利用が伸びれば、その大半が利益となる。
こうして人々の駅滞留時間が延びれば、弁当や飲み物を購入するので、これまでの駅ナカビジネスの売上増という波及効果もあるという。

■極めつけは1分のみ

利用者数2000万人、月額動画再生数6億回以上という動画サービスがある。
料理動画を提供しているが、全てが1分ほど。常時26000本の料理動画が視聴可能で、毎月1000本の新作が増えている。

なぜ1分なのか。
ネットユーザーはかつて、パソコンで動画を見ていたが、今やスマホが主流だ。その中での最適な長さが1分。料理をする奥さま方が、スマホを持ちながら疲れずに見飽きない時間だという。

では、どうやってあらゆる料理を1分で見せるのか。
「早回しはしない」「単純作業は最初と最後だけ」など、社内のマニュアルを活用すれば、撮影と編集が1分におさまる。
より詳細なプロセスは番組内で紹介されているが、なるほどデータを活用して、こんなことができる時代かと感心させられる。

実はこうした1分動画は、スーパーの食品売り場でも活用されている。
買い物客が、今日の料理をどうしようか迷った時、1分で見られるレシピは重宝がられている。スーパーの側も、その動画に出てくる食材が30%ほど売上増となり、強力な宣伝手段となっている。
既に全国1000店舗以上で利用されているという。

分刻みビジネスは、利用する側からは必要な時だけ使って安く済む。提供する企業側からは稼働率を上げることが可能。両者を出会わせてウィン・ウィンを成立させる。
ビジネスの世界では、また新たな考え方が定着しそうだ。

どんな料理も1分で魅せるコツ>>

文・鈴木祐司 次世代メディア研究所