賀来賢人と子役・田野井健のやりとりが圧巻~またも桁外れを行く『ニッポンノワール』~

2019/10/16 12:40

日テレの日曜ドラマ・賀来賢人主演『ニッポンノワール』が始まった。

同枠はこのところ、話題作がめじろ押しだ。
去年秋クールは、やはり賀来賢人が主演した『今日から俺は!!』。今年1月クールは『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(菅田将暉主演)。まっすぐなメッセージ性を持つストーリーとは裏腹に、かなり過激なシーンもありのドラマだった。そして春と夏は2クールにわたる秋元康原作『あなたの番です』(原田知世と田中圭のダブル主演)。途中で主役が死んだり、毎回誰かが殺されたりで、真犯人を推理する考察がSNSで話題となった。

心理的にとてもスパイシーで刺激の強い作品が続く中で登場した今クールの『ニッポンノワール』も、その期待を裏切らない圧巻の初回となった。

サムネイル
賀来賢人主演『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』


芦田愛菜を彷彿させる子役・田野井健の演技>>

■賀来賢人の爆発力

まずキャスティングがスゴイ。今が旬の俳優たちが勢揃(ぞろ)いし、しかもこれまでのイメージを覆すシーンや演技が続く。

初回は、主人公・遊佐清春(賀来賢人)が意識を失って倒れているところから始まる。
目を覚ました時には、手には銃を持っていて、隣で碓氷薫(広末涼子)が銃で撃たれて死んでいる。
まるで映画の始まりのように、ミステリーの核をドーンと投げつけられたようなインパクト。見る側は完全に圧倒され、話に引き込まれていく。

今回、主演を演じる賀来賢人は、今や日テレの日曜ドラマの常連だ。
2017年冬の『スーパーサラリーマン左江内氏』(堤真一主演)では、コミカルなオーバーアクションで個性を発揮した。
同年秋ドラでは、秋元康原作『愛してたって、秘密はある。』(福士蒼汰主演)で、荒削りだが真面目な刑事役をクールにこなした。
そして翌18年秋の『今日から俺は!!』では、原作のヤンキーギャグ漫画を超えるような、卑怯(ひきょう)でズル賢い金髪のつっぱりヤンキーを演じた。

ここまでで、「ややコメディ寄りの役を得意とするのか?」と思わせていた。ところが賀来賢人のスゴさは、この秋の『ニッポンノワール』で、モーレツに爆発しようとしている。

初回からぶった切るストーリー展開の破天荒さもスゴイが、刑事でありながら、殺人と10億円強奪の容疑をかけられ、同僚や警察を敵に回しながら真相を暴いていく。
弱肉強食の世界で生き残る獣のような荒さと鋭さを醸し出し、恵まれなかった生い立ちにある種の憎しみと寂しさを抱きながらも、人生を自分の手で切り開き掴(つか)んでいく。多面性がにじむ演技には、賀来の領域には簡単には踏み込めない"すごみ"がある。「これぞ役者!」というべき、七変化は圧巻としか言いようがない。

■圧巻は子役・田野井健

ドラマ後半で、同僚・名越時生(工藤阿須加)とのアクロバティックなアクションシーンの迫力も圧倒的だ。いつもは優しく穏やかな役を演じることが多い工藤阿須加も、今回は狂気を孕(はら)んだキャラで、いつものイメージを完全に打ち砕く"ぶっ飛んだ演技"で役者魂を見せている。

圧巻はラストシーン。
殺された薫(広末涼子)の一人息子・克喜(田野井健)と、遊佐(賀来)の掛け合いで、最大の見どころと言える。
大人顔負けの子役・田野井の演技がスゴイ。心が移り変わっていく劇的な心理描写を見事に演じ切っているが、当時6歳だった『Mother』(10年春・松雪泰子主演)の芦田愛菜を彷彿(ほうふつ)とさせる。

同ドラマは、ミステリーや刑事ドラマのスタンダードを大胆に打ち破っている。いわば放り出されたバラバラのパズルのピースを、危険を冒しながら拾い集めてパズルを完成させていく。そんなスリリングな作品になっている。

脚本は『3年A組-今から皆さんは、人質です-』を書いた武藤将吾。
『3年A組』との関係から、どうつながっているのかを探すのもオモシロイ。

今後のストーリー展開も期待するところだが、この初回を見逃したまま第2話に進むのは、実にもったいない。ドラマを楽しむには絶対必見な1作だ。
見逃している人には、特に見て欲しい『ニッポンノワール』初回である。

芦田愛菜を彷彿させる子役・田野井健の演技>>

コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所