進化した"俺さま"木村拓哉~『グランメゾン東京』快進撃~

2019/11/12 11:24

この秋にふさわしいグルメのためのドラマ・木村拓哉主演『グランメゾン東京』が絶好調だ。
4話までの視聴率は、12.4%→13.2%→11.8%→13.3%。平均12.7%は『ドクターX』『相棒』に次ぐ。新作としては、群を抜く成績だ。

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木村拓哉主演『グランメゾン東京』


脇役を立てる木村拓哉が新鮮!>>

■ぜいたくなコース料理のようなドラマ

繰り広げられるストーリーは、まるでコース料理を堪能した時の高揚感、躍動感、味わいと風味を毎回たっぷりと楽しむことができる。そしてレストランをオープンするために、かつての仲間が加わっていくという感動もある。
さらに"俺さま"と批判されがちな木村拓哉が、脇役を立てる新たな一面も見せ、新鮮だ。
満足感と次回への期待を持たせる絶妙な展開になっている。

エンディングで山下達郎が、このドラマのために書き下ろした『RECIPE レシピ』も、得も言われぬタイミングで入って来る。まろやかでリズム感があり、まるで珠玉のデザートのようだ。

キャスティングは木村拓哉・鈴木京香に続き、玉森裕太・尾上菊之助・及川光博・沢村一樹・手塚とおるらが名を連ねる。名優たちの演技合戦も見応えたっぷり。

今回の第4話では、マリ・クレールダイニング編集長のリンダ・真知子・リシャール(冨永愛)が大きな鍵を握った。さらに尾花(木村拓哉)の過去に迫り、料理だけではなく、ミステリー要素を大きく含んだ新たな展開へと広がりを見せた。ドラマの厚みが生まれ、さらに面白くなって来ている。

初回のパリを舞台にした幕開けは、本物の三ツ星レストラン"ランブロワジー(L'ambroisie)"の調理室を実際に使い、パリの名所をバックに圧巻のクランクインだった。
そしてストーリーが進むにつれて、毎回美しい料理が登場し、ドラマファンだけでなく、グルメファンの五感も刺激してくれる。

■木村拓哉と鈴木京香

"木村拓哉"の役作りに対する、情熱とプロフェッショナルな姿に脱帽だ。
以前、バラエティ番組の料理を競うコーナーで、すでにその手際の良さは一目置かれていた。ところが今回は、斬新で繊細なフレンチのヌーベルキュイジーヌに挑戦し、その腕をさらにランクアップさせている。

これまでも美容師・パイロット・外科医など、さまざまな専門職を演じており、そのオールマイティぶりはここでは書ききれない程だ。完璧にこなそうとするプロ意識が、演技を本物に仕立て上げ、不動の人気を誇るスター"木村拓哉"が、永遠に進化を続けているようだ。

その脇で華やかに咲き誇る早見倫子シェフを演じる鈴木京香も、女優としてひと際輝き、ドラマになくてはならない存在となっている。
メインシェフでありながら、才能ある料理人やギャルソンの意見を聞き、努力を惜しまずに料理に全身で飛び込んでいく、大胆さが魅力的だ。

尾花夏樹・相沢瓶人(及川光博)・平古翔平(玉森裕太)は、料理の才能はあるが、みなコミュニケーション能力にやや問題がある。そんなトゲトゲな男たちを、風通しの良い、大きなスカーフで覆ってしまうような大地の温かささえ感じられる。
だからといって、肝っ玉母さんみたいな、ぬかみそくさい感じが一切ない。それは、鈴木京香が持つ、凛(りん)とした美しさと繊細さがあるからこそではないか。

■"大人の青春"物語

誰が見ても、食べてみたいと思う料理が、次々と出てくる。しかも読めない早さで、料理名や材料名が出てくるのも、ドラマとして斬新な演出だ。
料理監修はレストラン「カンテサンス」の岸田周三と、「INUA」のトーマス・フレベル。さらに服部専門学校の服部幸應校長が料理所作の指導するのだから納得である。

レストランも、演技も、魅力的な場面を余すことなく見せてくれる当ドラマ。
かつてフランスで、店で起きた重大事件により店も仲間も全て失ってしまった尾花夏樹(木村拓哉)が、もう一度シェフとして生き直そうと決意し、世界最高の三つ星レストランを作り上げるべく立ち上がる。
ただしストーリー展開は、その事件が影を落とし、入り組んだ人間関係へと展開しそうな予感だ。
"大人の青春"物語がどう進んでいくのか、目が離せない。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所