コメディで光る趣里の七変化~『時効警察はじめました』のもう一つの楽しみ方~

2019/11/19 11:16

テレビ朝日系の金曜ドラマナイト『時効警察』が放送されたのが2006年。
第23回「ATP賞テレビグランプリ2006」ドラマ部門の最優秀賞を受賞するほどのインパクトだった。

翌2007年に『帰ってきた時効警察』として復活。そして今季は、『時効警察はじめました』が第3シリーズとなっている。

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オダギリジョー主演『時効警察はじめました』


趣里の表情の変化が絶品>>

■刑事ドラマの変化球

主演はオダギリジョー。
映画の監督、音楽、バラエティ、ドキュメンタリーなど、役者を超え感性豊かな才能を発揮している。

テレビ朝日と言えば、刑事ドラマがおはこ。
『相棒』『警視庁捜査一課9係』『刑事7人』『遺留捜査』『臨場』『警視庁・捜査一課長』など、渋い大人の本格刑事ドラマがたくさんある。
しかもこれらはシリーズ化し、多くのファンを長年魅了してきた。

こうしたスタンダードなミステリーはゴールデンタイムに任せ、『時効警察』シリーズは23時台で、刑事ドラマをコメディタッチに仕上げ、一部の熱狂的なファンの心をつかんできた。
肩の力を抜いておもしろいものを創ろうという制作チームの意気込みが伝わってくる。

物語の途中で、米津玄師のモノマネが出てくる。犯人の名前が"栗原栗ごはん"だったりと、おもしろネタが随所にちりばめられ、徹底的に視聴者を楽しませようとサービス精神旺盛だ。

■変化球の魅力

これまでのシリーズでは、民放ドラマ初出演となった麻生久美子がヒロインを演じた。
共演者では他に、ふせえり・江口のりこ・岩松了・豊原功補・光石研などが絶妙な味を出していた。

今シリーズからは、吉岡里帆、磯村勇斗、内藤理沙、田中真琴らが新たに出演し、これまでとは違う空気感を加えている。

最近のドラマは、ヒットしたマンガや小説を原作にしたものが多い。
リスクをなるべく負わない"保険をかけた"制作が目立つ。そんなオトナの事情をモノともせず、思いっ切りフルスイングできるのが、深夜ドラマの魅力だ。

映画界で、脚本と監督を務め、さらに演じきるオダギリジョーであるからこそ、この時間枠を知り尽くし、自由なクリエーションを思いっきり楽しんでいるのではないだろうか。

■趣里の存在感が圧巻

今回の第5話では、ゲストに趣里が出演し、大いに盛り上げてくれた。
趣里と言えば、父は水谷豊・母は伊藤蘭と芸能界のサラブレッド。どんな役も120%なりきる"七変化っぷり"と、どんな高いところからでも飛び込んでいくような"思いっきりの良い演技"、さらにその着地は絶対に失敗しない程の演じっぱなしにならない繊細で丁寧な表現力が魅力となっている。

今回の物語では、時効となったある事件の依頼人として登場する。
夏帆(趣里)はSNSで仲良くなった刑事課の彩雲真空(吉岡里帆)に、伝説のコント師だった村瀬ベルギーワッフル(水川かたまり)が父親であることを明かした。そして父が殺された事件についての真相を知るべく、解決を依頼したのだった。

事件発生から一定期間を過ぎた事件は、時効となり、その罪を起訴し裁くことができなくなる。
殺人事件は、時効が廃止されているが、極悪犯が整形手術などを繰り返し、逃亡しながら、時効成立の日までカウントダウンしてほそぼそと暮らしていると思えば、被害者はたまったものではない。

「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があるが、なかなかできるものではない。
そんな葛藤を趣里が、見事に演じている。喜怒哀楽を、表情や一挙手一投足で微妙に変化させて表現する演技。第5話のメインは、まさに「趣里の偉業ここにあり」というべき名演であった。

同ドラマでは、これまでも小雪・向井理・中山美穂・中島美嘉がゲストとして出演し、圧倒的な存在感を示してきた。
次回第6話では、寺島しのぶと柳葉敏郎がゲスト出演する。コメディタッチな展開の中で、日本を代表する名俳優の演技がどう光るか、毎回そんな楽しみ方もできるドラマになっている。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所