まわりを次々巻き込む田中圭の魅力~『おっさんずラブ-in the sky-』~

2019/11/19 18:26

昨春大ブレークした『おっさんずラブ』。
見逃し配信・DVD予約などがテレビ朝日史上最高となり、出版・リアルイベント・映画化など快進撃が続いた。
さらに東京ドラマアウォード2018の連続ドラマ部門賞のグランプリなど、数々の賞も受賞した。

そして今クール、『おっさんずラブ-in the sky-』となって、再びテレビに戻ってきた。

サムネイル
田中圭主演『おっさんずラブ-in the sky-』


春田ラブシーンの連続!>>

■シリーズ化に一工夫

もともとは2016年の『年の瀬恋愛ドラマ第3夜』として放送された。
それが2018年春に『おっさんずラブ』シーズン1となり、映画化を経て、今クールも土曜ナイトドラマ枠での放送となった。

主演は、田中圭と吉田鋼太郎が変わらぬメインキャスト。
そして今期の共演者は、千葉雄大、戸次重幸、佐津川愛美、MEGUMI、正名僕蔵、木崎ゆりあ、片岡京子、鈴鹿央士と個性派がそろった。
イケメン・美女たちが、華やかに空を舞う物語となった。

今期はドラマのシリーズ化が多い。
『まだ結婚できない男』『時効警察はじめました』『ドクターX』などだ。続編で帰ってくる作品のストーリーは、前作の"その後"を描くのが普通だ。ところが『おっさんずラブ』に限っては、役者たちの職業やシチュエーションをガッツリ変えて、前作を継承する部分を残しつつ、別の物語として戻ってきている。
思いっきりと一工夫の具合が絶妙だ。

■ドラマの骨太な哲学

ただし、夏に映画化された主人公の印象がしっかりと残るまま、舞台をエアラインにリニューアルした演出となった点には意見が分かれた。このタイミングでの勢いに爽快感を覚える視聴者と、保守的に見た人々だ。

それでもドラマのコンセプトは変わらない。
"人を好きになる"とは、どういうことなのか?恋にときめくのは、少女だけではない。アラサー・アラフォー女子もそうだが、もっと他にもいる。
そう、男子も、おっさんも、「新鮮な心のトキメキ」と「揺れる心の切なさ」を味わったって良いじゃないか。

好きな人がいて、その人のことが気になって、ほっとけなくて、あふれ出すこの思いを本人に伝えたい。たとえ、結果がどうであろうと......
制作陣の骨太な哲学が"尊い"。

■とっ散らかる恋心

吉田鋼太郎が演じるグレートキャプテンこと機長・黒澤武蔵は、57歳のパイロット。技術も人柄も偉大な存在だが、独身ポンコツダメ男・春田創一(田中圭)に恋心を抱いてしまった。

しかも第2話では、春田を空港の屋上に呼び出すという、ベタな演出でその胸の内を思いっきり打ち明けている。
まさに少女漫画のクライマックスのシーンを、"おっさん"がそのまま演じている構図は、かなりのインパクトだ。

今回の第3話では、なんと黒澤の娘・緋夏(佐津川愛美)が、春田に急接近した。
二人のイチャイチャシーンに、突然黒澤がカットインし、事態は絡んだ糸のように各人を困惑の渦に翻弄(ほんろう)した。

さらに春田に思いを寄せる四宮要(戸次重幸)も、春田との淡いシーンが描かれる。
春田をめぐり重層的に次々と展開するストーリー。
極めつけのラストは、副操縦士・成瀬竜(千葉雄大)と春田のずぶぬれのハグシーン。

今回も天真爛漫(てんしんらんまん)な春田が、次々とおっさんを含めた周囲の人々を引き込んでいく。
そして恋の感情がとっ散らかって行く。この収拾不能な状況で、果たして春田の心は、誰に向くのか。

■"恋する"とは"生きる"こと

現代社会では、LGBTに限らず、"草食系男子""肉食系女子"という言葉が出てくるくらい、性の境界ラインが曖昧となり、揺れ動くようになっている。
一昔前までは、できる男はブラックコーヒーを飲み、甘いミルクティーを飲む女がカワイイ時代だった。さらに前は、「男は黙ってサッポロビール」だった。
ところが今は、男だってスイーツを食べて良いし、女だってラグビーを観戦しながらビールをがぶ飲みしても良い。好きなものを隠す必要のない時代になったのである。

かっこよくて、かわいくて、魅力的な人が、誰からも好かれてしまうのは仕方ない。だから、好きになってしまうのも仕方ないことなのだ。

新たな時代の日常と、変わり始めた人間関係が、このドラマでは描かれている。
前世紀とは異なる状況の中で、恋愛という"生と性"を見つめ直す時代。春田を取り巻く登場人物たちの恋の行方は、まさに「これからわれわれはどう生きるのか」を問われているようだ。

その答えに近づくためにも、今後の展開から目が離せない。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所