福士蒼汰の予知能力が消えて見えたこと~『4分間のマリーゴールド』に急展開~

2019/12/ 9 16:30

ちょっと唐突で恐縮だが、ドラマと数学における図形の問題には、共通項があると思っている。

補線をどう引くかで、結論・解答が見事に浮かび上がる点だ。例えば図形の問題なら、三角形の角度Aを求める際に、簡単に計算できるようになる補線がある。
ドラマなら、どんな設定(補線)にするかで、結末までの展開が美しくなる。

サムネイル
『4分間のマリーゴールド』出演の福士蒼汰と菜々緒


福士蒼汰が失って初めて見えたこととは......>>

救命士でありながら、手を合わせるとその人の最後が見えてしまう主人公・みこと(福士蒼汰)。その特殊な力こそが補線となっているが、『4分間のマリーゴールド』9話では、その補線がグラグラ揺れ始めた。

■運命の死と生

みことはある日、姉で恋人の沙羅(菜々緒)が、死ぬ運命にあることを見てしまった。
限りある人生と残された時間を知った沙羅とみこと。加えて兄の廉(桐谷健太)と弟の藍(横浜流星)が、それぞれの生き方、それぞれの人生に向き合い、ドラマは展開してきた。

「運命の死と、そこまでをどう生きるのか」
こんな壮大なテーマが直球で投げかけられ、視聴者は物語に引き込まれて来た。ところが今回の9話は、今まで以上にぐっさりと刺さる、大切な1話となった。

ストーリーの冒頭、みことが勤める救急隊の同僚の磯部健太(西村元貴)が倒れ、居合わせた阿部志乃(関水渚)が救急の処置を行うところからスタートする。
また新たな展開か!?とドキッとするが、小学生の体験型のデモンストレーションで、ホッとする。

今回の話の鍵になる登場人物は、小学生の直哉だった。
担任の滝沢(市川知宏)は、沙羅の中学の同級生で、園芸が大好きな子供思いの先生だ。この2人が学校でけがをし、救命に駆けつけたみことと共に話は絡んでいくのだが......

■次の一手が大切

「人は、いつ死ぬかわからない」
運命が分かっていても分かってなくとも、人は知り得ることのない未来に不安を抱く。さらに未来を事前に知りたくて、占いや神頼みをしたくなる。

でも良い事も悪い事も、運命は理由もなく突然やってくる。
だから生まれた時から不幸を背負う人もいれば、恵まれているように見えても突然不幸になる人もいる。結局、その運命とどう向き合うかは自分次第なのだろう。

「どうして自分だけが、こんな目に......」と思うことは誰にでもある。でも、その原因を正しく解明することはできないし、結果を悲観してもどうにもならない。
今を生きるためにできる事を考えて、その瞬間を思いっきり全力で生きる。単純だが、シンプルな生き方の大切さを、ドラマは私たちに教えてくれたように思う。

以前に将棋の棋士に、「何手先まで読めるのか?」を聞いたことがある。
「読もうと思えば十手以上先を読むことはできる」
「ただし勝負に勝つためには、ずっと先まで読むことより、目の前の次の一手が最も大切」
こんな回答が新鮮だった。

つまり人生においては、丁寧に生活すること。
自分の気持ちをきちんと相手にわかるように伝えること。
自分にうそをつかないこと。
前を向いて進むこと。
ドラマの中では、登場人物がそれぞれの言動で「次の一手が大切」と示してくれているようだ。

■"じわっ"の後の急展開

藍と琴(鈴木ゆうか)の関係も、新たな展開に突入した。
そして廉と千冬(磯山さやか)の行先にも、光が差し込んできた。同時にみことと沙羅の絆も深まり、家族全員が幸せな空気をまとい、微笑ましい風が流れる。

見えてしまう運命に振り回され、動揺してきた家族。
その苦しみが、"雨降って地固まる"かのごとく、家族の絆を深め、それぞれが自分の意思を持って"現在"を大切に生きるようになった。じわっとくる感動だ。

今回のストーリー展開で、ゲスト出演となった小学生の直哉役の川口和空の演技にも触れずにはいられない。
スネた小学生の直哉が、先生のけがをきっかけに自分を見つめ直し、先生の復活を願い、自ら行動を起こす。
病院での先生との面会のシーンは、涙なくしては見られない。しかも、ドバーッと流れてしまう涙である。

しかも拭いきれない涙と感動で心温まったところで、とんでもない衝撃のラストシーンが待っていた。
今を生きることを信じ始めたが、やはり運命を塗り替えることはできないのか!?
最終回へ向けて、ラストスパートは能における"序・破・急"のような展開だ。
最後まで、しっかりと見届けたい。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所