【インタビュー】The Songbards『CHOOSE LIFE』制作を経た今後の展望

2019/12/11 12:00

GYAO!とAWAと日本工学院がネクストブレイクアーティストをプッシュするコラボレーション企画『G-NEXT』。今回の選出アーティストは、11月20日に記念すべきメジャーデビュー作品となったファーストフルアルバム『CHOOSE LIFE』を発売した、4ピースバンド・The Songbards。「人生は選択できる」と掲げられた今作品。暗い道を照らし出すような彼らの音楽性の根源にあるものとは一体何なのか? 彼らの放つバンドアンサンブルの独自性、これから進む道、そして自身にとって音楽の存在とは何なのか? ――メンバー4人にたっぷりと語ってもらった。

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4ピースバンド・The Songbards


ファースト Full Album "CHOOSE LIFE"収録の『マジック』>>

■より体が自然に動くようなリズム作りがしたい

――前作の『The Places』(2018年10月リリース/5曲入りミニアルバム)はエンジニアおよび共同プロデューサーに古賀健一さんを迎えての制作でしたが、今作はどのように進めていったのでしょうか?

松原有志(以下、松原):今回は、エンジニアを3人の方にお願いしていて、先ほどの古賀さんもそのうちのおひとりなんですけど。その3人と3カ月間一緒に制作をしていって。最終的なマスタリングはひとりの方にお願いして完成しました。

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松原有志(ボーカル&ギター)


――緒に作業をしていくなかで、作風への影響はありましたか?

松原:もともと『The Places』で古賀さんにエンジニアをやってもらったこと自体が、まだまだ経験の浅い僕らにとってはレコーディングの土台なんですよね。その僕たちの土台が他のエンジニアさんにもどのくらい通用するのかなと思って臨んだんですけど、結果、適用したところも多くて。あと、お三方からは歌詞の面や、音楽を作る面ですごくアドバイスをいただきました。この方たちがいたからこそ、こういう楽曲に仕上がったというのはすごくありますね。

――今は全曲の作詞、作曲を上野さんと松原さんがしているんですよね。以前The Beatlesのように、歌詞を全員で考えるような曲作りがしたいと話していたのを記事で拝見しました。今作ではその制作環境に近づけましたか?

松原:今の段階ではこの2人以上になるとできる気がしないというか。2人で作ることでも今までだいぶ失敗してて、『The Places』くらいからようやく形になってきたかなという感じですね。これからもっと成長したら、3人で歌詞を書いたりとか、リズム隊の2人で歌詞を書いたりとか、そこは柔軟にいこうかなと思っています。

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上野皓平(ボーカル&ギター)


――ちなみに、歌詞はどのようにして言葉を当てはめていくのでしょうか?

上野皓平(以下、上野):聴いたときにメロディと相まって、ちゃんと情景が浮かぶような歌詞にしたいなとは思っています。最終的に少しでもポジティブな方向で、聴いていて多少なりとも救われて欲しいというか。生きていくために役立ててほしい気持ちはあります。

松原:おこがましく何かひとつの答えを提示できる人間ではまだないし、アーティスト側が提示する歌詞が具体的すぎると、ひとつの解釈しかできないと思うので。良くも悪くも歌詞を抽象的にして、いろいろな捉え方ができるようにしたいと思っています。

――それは今作のタイトルにも表れていますよね。

松原:そうですね。『CHOOSE LIFE』というタイトルはレコーディングの終盤で決まって。いろんな曲調の曲が入っているので、1人の人間のさまざまな時期を迎える人生のように聴こえたら面白いかなと思って、このタイトルに決めました。

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岩田栄秀(ドラム&ボーカル)


――それらを踏まえたうえで、演奏面で意識をしたことはありましたか?

岩田栄秀(以下、岩田):前から歌をサポートしたり、寄り添うような演奏がしたいと思っていて。今後の目標としては、そのうえでもっと遊びを入れたりとか、ドラムのトラックから曲を作ったりできればいいな、と思っています。

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柴田淳史(ベース&ボーカル)


――去年の8月にはイギリスのフェス『International Beatle Week』に出演され、他にも多くのイベントに名を連ねていましたが、そこから得た経験は今作に反映されていますか?

柴田淳史(以下、柴田):前作の『The Places』は、イギリスに行く前に曲を作ったので、イギリスでライブをして得たことは反映されていなくて。得たものの感覚を曲にしたのは今作が初めてでした。イギリスは日本と比べるとお客さんの反応がすごくダイレクトで、自分たちがいい演奏ができたと思う瞬間にお客さんも盛り上がってくれて。自分たちが思っていた感性は間違いじゃなかったんだなと、自信につながりましたね。その自信が今作にも反映されていると思います。

松原:今の補足になってしまうんですけど。イギリスの人も日本の人も同じ人間ではあるので、きっと感情はライブ中に変わっていくと思うんですよ。それを表現するか/しないかっていう、本当にそれだけの理由で。でも、いつかは僕たちももっと自由にライブの空間を使えるようになっていかないといけないと思うので、イギリスで見れた景色を日本でも見られるように頑張っていきたいと思います。

岩田:僕らも責任を持って、衝動的により体が自然に動くようなリズム作りがしたいなと思いました。今回は前作よりアンサンブルの兼ね合いも、より洋楽っぽくなるようにみんなで意見を出し合いました。

――今後の活動は海外も視野に入れていますか?

松原:いや、まだ視野に入れてないですね。やっぱ日本語で歌っているので。必ずイギリスでライブをしたいというわけではないです。単純な好奇心としてでしたら、東南アジア、中国、韓国とかはバンドもはやっているので、そういうところで僕たちの音楽を聴きたいと思ってくれる人が増えたら行きたいですね。でも、日本語という歌詞の形態は、今後もおそらく変わらないと思います。

■人間らしく立ち戻れるのが音楽

――次作の展望を伺わせてください。

松原:今作の制作にあたって、デモはたくさん作ったんですよ。その曲のなかで、この曲は次の作品かな、ってメンバーと話し合ったものもあります。でも、コンセプトは特に考えていないです。今まで通りツインボーカルだったり4人コーラスだったり、バンドの根幹の部分は崩さずに、進んでいこうと思っています。

――これから対バンツアーやワンマンも控えていますが、どういった心境で臨みたいですか?

松原:『CHOOSE LIFE』を携えたツアーは初めてになるので、本当に楽しみでしかないです。前回のツアーは、新曲は5曲でしたが、今回は12曲分の新しいことができる。対バンにも大好きな人たちばかりが出演してくれることになったので、今までにない楽しみ方ができると思っています。ワンマンでは、初めて行く場所もあるので、機材をそろえて、練習して......(笑)。"音源そのもの"みたいなクオリティだけではなく、「生」でしっかり演奏したいですね。

上野:まだ音源通りにやるかはわからないし、変えたりする面白さもあると思っています。ただ、自分たちのライブの面白さは、ツインボーカルとかコーラスワークだなって。その自分たちらしさをどうライブで表現していくのかはやっぱり大事なので、自分たちで楽しみながらみんなに見せていけたらいいなと思います。

岩田:レコーディング含め、制作期間が長かったことでいろんなことに気付いて成長できました。対バンツアーを見にきてくれた人も、ワンマンツアーでは新しい体験ができるかもしれない。そういったところも楽しみにしていてほしいです。

柴田:『CHOOSE LIFE』を聴いて来てくれる方が多いと思うんですけど、ライブではアルバムを聴いて得た体験とはまた別の体験をしてもらえたらいいなと1番に思っています。その瞬間だけ楽しめるライブというよりは、生で聴くからこそ刺さる歌詞や言葉を、ライブに来てくれた人に残せたらいいなとずっと考えています。今回のツアーに関しても、そういうライブをしていきたいです。

――ライブ楽しみにしています。最後に皆さんにとって"音楽"とはどのような存在なのか聞かせてください。

松原:僕にとっては、もちろん自分自身を救ってくれたものではあるんですけど、今はそれを伝えるための手段かなと思っています。"人生そのもの"って言いたい気持ちもあるんですけど、実際そうじゃないと思うんです。音楽が救ってくれない瞬間ももちろんあるわけで。僕たちは、今学んできたこととか今感じていることを、音楽っていうものを借りて表現しているので。もし一言で表すなら「音楽は手段」って言いたいです。こういう表現だと、嫌われちゃいますよね(笑)。

――いやいや(笑)。皆さんはどうですか?

上野:人間らしくあるための手段というか、立ち戻れるようなものというか。悩みをいったん忘れて、奇麗に洗い流してくれるときもあれば、そこから気づきを得て人生を見つめ直せたり。人間らしく立ち戻れるのが音楽かなと思います。

柴田:僕も人生そのものだとか言いたいんですけど......個人的には、生活を少し豊かにしてくれるものだと思っています。やっぱり音楽って、あくまで娯楽のひとつであると思うし、必要じゃない人もいて。音楽そのものが何かを変える力はないと思うんです。でも聴くことによって受け取る歌詞だったり、メロディの美しさで心の持ちようが変わるというか。いつもと変わらない日常を少しだけ豊かにしてくれるものかなと思います。

岩田:娯楽ではあると思うし、絶対必要かどうかでいうとプラスαの要素としてあるもので。あまり何も考えなくても受け取れるような、ふとすてきな言葉を見つけられるようなものかなと思います。

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The Songbards 前左:ライター・青木優生菜 前右:上原虎起



The Songbards
ファースト Full Album 『CHOOSE LIFE』
2019.11.20 Release

初回限定盤 VIZL-1664 ¥3,300(税別)
通常盤 VICL-65263 \2700(税別)

■The Songbards(ソングバーズ) プロフィール
2017年3月より地元・神戸を中心に活動を開始。上野皓平(Vo/Gt)、 松原有志(Gt/Vo)、柴田淳史(Ba/Cho)、岩田栄秀(Dr/Cho)の 4人組。バンド名は、「Songbird=さえずる鳥」と「bard (吟遊詩 人)」のダブルミーニング。UKロックに影響を受けたフォーキーな ロックサウンド、日本人の琴線に触れる歌詞とメロディー、エヴァーグリーンなグッドミュージックに映えるツインギターボーカ ルと、4 人の息の合ったコーラスワークが魅力。結成後間もなく、「RO JACK 2017」「出れんのサマソニ」 「COMIN'KOBE17」など大型フェスオーディションを総なめにした他、4時間ぶっ続けでカバー楽曲を演奏するバーイベントを約2年 間続け、リバプールなどイギリスでのライブを12本経験するなど、 精力的に活動している。

■トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

ファースト Full Album "CHOOSE LIFE"収録の『マジック』>>

取材:青木優生菜、上原虎起(日本工学院専門学校蒲田校コンサート・イベント科)
撮影:澁谷宗大(日本工学院専門学校蒲田校コンサート・イベント科)
構成:森はち