「一回しか~」って普通「言わねぇぞ」~『グランメゾン東京』木村拓哉の新たな魅力~

2019/12/20 17:18

TBS日曜劇場『グランメゾン東京』が終盤に突入した。

今季ドラマの中では、終盤で視聴率が盛り上がり、注目度が高まるものが少ない。
フジ月9『シャーロック』は後半からラストの5回、フラットなままだった。視聴率最高の『ドクターX』も、前シリーズまでのように終盤で大きく数字を上げることはなかった。

ところが『グランメゾン東京』だけは、2話を残し数字を大きく伸ばし始めた。今クールで唯一"終盤に盛り上る"ドラマになりそうだ。

サムネイル
TBS日曜劇場の視聴率推移


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■最終回で20%突破!?

TBS日曜劇場は、中盤から最終回にかけて4割前後、世帯視聴率(ビデオリサーチ関東地区)を上昇させるパターンが多い。今年冬の常盤貴子『グッドワイフ』は35%アップ、春の福山雅治『集団左遷!!』は68%も上昇、そして大泉洋『ノーサイド・ゲーム』も42%上げた。

この伝でいくと『グランメゾン東京』の終盤も期待できる。
実は8話から9話で、11.0%から14.7%と既に一挙に34%も上げている。他局の連ドラが終わってしまっている中で2話を残しているので、大いに注目される可能性もある。
もし毎回2割ほど上昇すると、最終回の20%という大台超えも夢でない。

■視聴者が逃げない展開の妙

序盤から中盤でも、視聴率はきれいな軌跡を描いていた。
初回12.3%から8話11.0%までは、ほぼ12±1%の範囲で安定した推移を見せて来た。今年の日曜劇場の他3本は、3割弱から4割強も序盤のピークから中盤の底で数字を落としていた。超安定の『グランメゾン東京』は、かなり健闘している。

実は1話1話での推移でも同様の健闘ぶりが見られる。
全国で140万台以上のネット接続テレビの視聴状況を調べるインテージ「Media Gauge」は、各ドラマの冒頭からエンディングまでの接触率の推移を調べている。
これによると、『グランメゾン東京』は他の3本より、毎話後半に向けての上昇率が高い。各回すべてで、視聴者が見入っており、途中で脱落する人が少ない証拠だ。

■次週につなげる巧妙なラスト

ヒットの秘訣(ひけつ)は、毎話ラスト10分の巧妙さにもある。
実はラストは、次回を見てもらうための重要なパートだ。日曜劇場では、ここに飛びっきりのどんでん返しを置いて、「次週の展開が気になってしかたない」という中毒患者を大量に出してきた。

『グランメゾン東京』も、その肝は外していない。
例えば3話では、ようやくチームの中核メンバーがそろい、プレオープンを迎えることになった。そこに尾花の元恋人のリンダ(冨永愛)が登場し、3年前の大事件が再び動き出す予兆で終わった。

4話では、グランメゾン東京の命運を左右するリンダの記事が爆弾だった。
店の料理やサービスは称賛されていたものの、3年前の事件を起こした尾花夏樹が店に関わっていることも暴露され、状況は一転した。

5話では、ようやく軌道に乗り始めたグランメゾン東京チームが、市場に買い出しに行きgakuのメンバーと遭遇する。そこにはプレオープンの日に失踪した柿谷光(大貫裕輔)の姿あった。
そしてもう一人・平古祥平(玉森裕太)の姿も......
皆戸惑いの表情だが、尾花だけ「面白くなってきたじゃん」と笑み。

こうして毎回、「早く次回が見たい」という視聴者を大量生産してきた。
そして9話も、それまでと負けず劣らず、心憎い展開を持ってきた。
リンダが「エスコフィユの事故の真相を特集する」と言い出した。それでも構わず尾花は、「もしウチが(祥平を)拾ったら?」と問う。するとリンダは、「グランメゾン東京には一生、星が付かないようにしてあげる」と返した。

ところが尾花は、そのまま東京を離れようとする祥平に会いにいった。
「1回しか言わねぇぞ、祥平。グランメゾンに来い」

■本当の星とは......?

9話ラストの一言で、SNS上には感動の声が溢(あふ)れた。
「くぅぅぅ胸熱ーーー!!!」
「鳥肌立った」
「カッケーと叫んでもうた」
「1週間待てないーーー」

「星が付かないように」邪魔されるのを覚悟で、尾花は信頼できる仲間を優先した。
そう言えば、このドラマのキャッチコピーは、「自分だけの星を掴(つか)め。」だ。恐らくメッセージに、「ミシュランの三ツ星より大切なものが、本物の料理人にはある」的な意味があるのだろう。

だとすると最終回で、やはり三ツ星を取り逃がすどんでん返しが待っているかもしれない。
それでも、そんな事実を超える"格好良さ"や"感動"が待っているのだろう。
若い頃は"俺さま"の格好良さを前面に出す演出のドラマが多かったが、今作の木村拓哉は"年相応"や"抑えるから逆に際立つ"素晴らしさを出すようになっている。
最終回への期待は膨らむ一方だ。

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文・鈴木祐司 次世代メディア研究所