【インタビュー】雨のパレードが明かす、同期を使ったライブアプローチの変化

2020/2/10 12:00

動画配信サービス「GYAO」、ストリーミングサービス「AWA」、音楽情報サイト「Real Sound」の3媒体でのフォローアップのもと、日本工学院専門学校の学生がアーティストインタビューを行う、ネクストブレイクアーティストをプッシュするコラボレーション企画『G-NEXT』。

今回の選出アーティストは、新体制となって初のアルバム『BORDERLESS』を1月22日にリリースした雨のパレード。共同プロデューサーに蔦谷好位置を迎え、全てのジャンル、国境をも超越した独自の音楽性と、バンド形態にこだわらないサウンドメイクを手に彼らが鳴らしたのは、まさに「新章」を告げる音そのもの。その音の全て、心境の変化を聞いた。

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3人組バンド・雨のパレード


雨のパレード初アルバム『BORDERLESS』ミュージックビデオ>>

■「一番良い音を選ぶことは変えずにやっていきたい」

――今作『BORDERLESS』というタイトルには、どのような思いが込められているのでしょうか。

福永浩平(以下、福永):もともとジャンルや時代性にとらわれないスタンスで楽曲制作をしているんだけど、ひとことで説明するのは難しいバンドだって言われていて。チームで何か良い言葉はないかと話していたなかで『BORDERLESS』という言葉が出てきたんですよ。今の自分たちにしっくりくるなぁと思ってこのタイトルにしました。

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福永浩平(Vo)


――タイトル曲の〈どこまでも越えていけ〉という歌詞は、バンドにも当てはまる言葉なのですね。

福永:まさに自分たちにも向けて歌っていると思う。最近、自分たちも含め、みんなどこかで誰かに肯定してほしいのかなって思ったりしてて。どんな寄り道をしても、歩んできた道は正しかったんだよって言えるような曲にしたくて書いた曲です。

――「BORDERLESS」のMVやジャケットには3本線がありますよね。

福永:僕らが3人になったというメタファーみたいなものもありますし、「BORDERLESS」は、大きな旗をイメージして制作したんです。MVの監督(笠井祐輔)も曲を聴いた時に大きな旗が浮かんだらしくて。その上で3本線を旗にのせると国旗のような印象にもなるんじゃないかと思ったんです。

――「Ahead Ahead」は新体制になってから初のシングル曲ですが、この曲がアルバムの最後に収録されているのはどういう意図があるのでしょうか?

福永:曲順は最後まで悩んだんですけど、一番しっくりくる流れが「Ahead Ahead」を最後に置くことだったんですよね。この曲は最初にあっても成立すると思うけど、最後にすることで僕らの次を感じてもらえるような流れになったんじゃないかな。

――新体制となってからの今作を「第二章」と位置付けていますよね。「第二章」へと向かう動きの中でどのような変化がありましたか?

福永:4人の時はスタジオに入ってセッションで曲を構築していくやり方でしたけど、新体制からはパソコンのDAW上に向かって曲を構築するやり方に移行していて。もともと興味はあって道具はそろえていたので、スムーズに移行できました。セッションで作り上げているときは、ギター1本の音でシンセとギター両方の音色を成立させたり、ベースがベースらしからぬアプローチをしたり、その良さはあったとは思うんです。でも、手の本数でしか楽器を鳴らせないというのが僕らの中ですごくネックでした。今はより正攻法で自分たちのやりたい音楽にグッと近づけている感覚はありますね。

――共同プロデューサーに蔦谷好位置さんを迎えて制作されましたが、どのような刺激を受けましたか?

福永:曲の作り方が変わって、教えていただくこともたくさんありましたし、自分たちなりに盗めるポイントもありました。楽しみながら自分たちの音楽へ向かう姿勢が、この作品に落とし込めたと思う。蔦谷さん自身の音楽に対する姿勢は、人としてすごく信頼しています。

――「惑星STRaNdING」でコラボレーションしたDos Monosは、「Hometown feat. TABU ZOMBIE(from SOIL&"PIMP"SESSIONS)」(3rdシングル『Ahead Ahead』収録)のリミックスも手がけていますね。今回はどういった経緯でDos Monosとコラボすることになったのでしょう。

福永:前作の時からサンプリングのセンスが光るアーティストだと思っていたので頼みました。僕らでコード進行を考えてトラックをたくさん作って、それを彼らに投げてサンプリングしてもらう感じで、ゼロから一緒に制作していきました。蔦谷さんと作業した曲とはまるで違う作り方でしたね。

――なるほど、さまざまな方法で楽曲制作されているんですね。では、新章を迎えたなかでも絶対に変えたくない芯はありますか?

大澤実音穂(以下、大澤):今作は、さまざまな要素を取り入れたのですが、打ち込みなのか生音なのか、打ち込みを自分でたたくのか、PC上で組み立てるのか......人力と打ち込み上では、グルーヴ感が変わるので、曲に対して一番良い音を選ぶことは変えずにやっていきたいです。

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大澤実音穂(Dr)


山崎康介(以下、山崎):雨のパレードは結成した当時からサウンドを重要視しているバンドなんです。今回DAWへ向かって作業することで、これまで以上に多彩なサウンドを追求できるようになったので、より良いサウンドを常に追求する姿勢をおろそかにしないようにしたいです。

■「同期があって初めてできるアプローチがたくさんあります」

――本作は、アートワーク含めイメージが一新されたように感じます。やはり「第二章」に向かうなかでの変化が大きく反映されているのでしょうか?

福永:メンバーが脱退して、次はどんな作品を作ろうかと考えていた時に、ディレクターからサウンドプロデューサーの方と一緒にやったらどうか? と話をもらって。僕はそれを素直に受け入れられたし、タイミングもいいなと思って。 自分たちの目指しているステージを考えた時に、大きいスケールを経験したことのあるプロデューサーの方とやりたいなって。僕らもいろんな人の意見を取り入れていきたいと思っていましたし、それがMVやアートワークにも反映されたのだと思います。

――そういった制作上での変化を通して、ライブのアプローチなども変化しましたか?

福永:新体制になって変わったものは大きくあります。4人の時はライブで同期を使わなかったからクリックさえ聴いていなかったんですけど、3人になったことをきっかけに同期を使うようになって。今までの音源で実は出ていなかったこと......例えば僕のコーラスが14人分重なってたりする部分とか。同期があって初めてできるアプローチがたくさんあります。

――お客さんとの距離もまた違った風に感じたんじゃないですか?

福永:そうですね。過去の曲と一緒に並べてみたときに、この曲はこうしておけば良かったなって思うものもたくさん出てきて。そこも自分たちなりにまたブラッシュアップしてからライブに挑んでいるので、今はやりたい音をライブで表現できている感覚があります。

――作年末12月には新体制になって初の海外ワンマン公演がありましたよね。いかがでしたか?

山崎:上海と台湾に行ったんですけど、向こうのお客さんはすごく直情的というか、気持ちをストレートに出す方が多い印象でした。ライブでも日本では聞いたことのないような歓声を送ってくれたり、こちらが盛り上がって欲しいところでレスポンスがきたり。ひとつひとつのリアクションが日本とは違うんですよ。海外でのライブを最初に体験したときはカルチャーショックを受けましたね。

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山崎康介(Gt)


――反応が変わったことで演奏する側のモチベーションも変わりますか?

福永:やっぱりお客さんが盛り上がってくれると自分たちも楽しいので、相乗効果はあると思います。

――2月からは北海道を皮切りにツアーも始まりますね。

福永:ツアーでは新しい挑戦をしていきたいと思っています。ワンマンに向けて変な機材を買ったりしていて(笑)。悪戦苦闘もしてるんですけど、すごくいい形になってるし、間違いなく今までのなかでも一番良いワンマンができると思います。多くの人に見に来て欲しいですね。

――ドラムプレイがずいぶん変わるように思いますが、どのようなスタイルで?

大澤:機材の数が増えた分、スネアやシンバルの数を増やして応えていきたいなと思ってます。あとはリアレンジでビートの音も変えられるので、過去曲のドラムとはガラっと変わってると思います。

――楽しみにしています。新章として新たなスタートを踏んでいますが、3月に向けて卒業や就職といった新しい道に進む人たちへのメッセージをいただけますか。

福永:「BORDERLESS」でも言っているように、人生には決して無駄な道はないです。全てに意味を見いだせると思うので、迷って選んだ道でも得るものは絶対にあるはず。だから、そこからの決断は自分の意思で決めれば何の問題もないって思います。

山崎:新しい道に進むっていうことは、今までとはまるで違った環境に行くことだから、期待だったり不安だったり、いろいろあると思うんですけど、前向きにしていれば、自分のバイタリティにもそのままつながっていくと思うんですよね。だから失敗を恐れずいろいろやってみて欲しいです。

大澤:私自身もそうなんですけど、他人の目を気にしちゃうと少し気持ちが揺らいでしまうこともあると思うんです。でも、自分が決めたことだったら他人の目は気にせずに貫き通して、自分を信じて頑張って欲しいなと思います。

――では最後に、みなさんにとって音楽とはどのような存在か教えてください。

福永:そうですね......。僕は遺伝子レベルで好きなものですかね。

山崎:僕は人生に彩りを与えてくれるものかな。

大澤:私は追い求め続けるものですかね。

■雨のパレードアルバム概要
2020年1月22日発売 ALBUM 『BORDERLESS』
通常盤 VICL-65265 \3000(税別)
完全生産限定盤 VIZL-1696 \4800(税別)

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後:雨のパレード 前:永吉祐香/上原虎起


【ミュージックビデオ】BORDERLESS>>

【ミュージックビデオ】Summer Time Magic>>

【ミュージックビデオ】Story>>

雨のパレード 公式サイト>>
雨のパレード 公式Twitter>>

■雨のパレード プロフィール
福永浩平(Vo)、山崎康介(Gt)、大澤実音穂(Dr)。
2013 年に結成、2016年メジャーデビュー。
80'sPOP、インディR&B、エレクトロハウス、アンビエントなどさまざまなジャンルと洋邦の枠を超えた音楽性と、アナログシンセやサンプラー、ドラムマシーンなどを取り入れた、バンドという形態にこだわらないサウンドメイクを武器に新世代のポップスを提唱する。

2019年に入り現在の3人編成となり、シングル「Ahead Ahead」を発表。バンドとしての"第二章"の幕を開けた。続けて「Summer Time Magic」「Story」を配信シングルとしてリリース。その枠にとらわれない音楽性に、アジアを中心に海外からの注目も高まっている。

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作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

※山崎康介の「崎」は「たつさき」

(取材:上原虎起、永吉祐香(日本工学院専門学校蒲田校コンサート・イベント科))
(撮影:澁谷宗大(日本工学院専門学校蒲田校コンサート・イベント科))
(構成:森はち)