【インタビュー】ヒゲダン最新作『HELLO EP』は豪華タイアップ3曲収録!珠玉のポップソングに隠された匠の技とは

2020/8/ 6 11:00

Official髭男dismが4曲入りEP『HELLO EP』を8月5日にリリースする。フジテレビ系「めざましテレビ」テーマ・ソング「HELLO」、2020年「カルピスウォーター」CMソング「パラボラ」、映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』主題歌「Laughter」といった大型タイアップ曲が3つも収められているが、そこにはヒゲダンとしての筋がしっかり通った傑作に仕上がっている。

サムネイル
Official髭男dism


【Official髭男dism特集】GYAO!独占、ここでしか見られないライブ映像>>

今回は、自粛期間の過ごし方から今作へのこだわりに至るまで、4人のメンバーにじっくり話を聞いた。そこから見えてきたのは、彼らの恐るべきミュージシャンシップの高さとチームワークの強さだった。

■楽しいからこのバンドをやってるんだなって(小笹)

――今回の自粛期間は自分自身を見つめ直す時間でもあったと思うんですが、いかがですか。

小笹:すごく複雑なことをたくさん考えたりもしてたんですけど、こないだようやく4人で集まってスタジオで音を出したときに、「楽しいからこのバンドをやってるんだな」ってことを再確認しました。だからいろいろ考えてたことはもう忘れました(笑)。楽しいからやってるに尽きます。考えたことも決して悪くはなかったと思うんですけど、今は晴れました!

松浦:スタジオでバッと音出した瞬間に、「ああっ!」ってなったもんね。

藤原:「俺たちはこうやって出来上がってたんだ」って気づいたよね。

――では、新作『HELLO EP』についてお聞きします。今回、曲の制作タイミングはそれぞれバラバラだったんですか。

藤原:本格的に曲として完成させるために着手したのはけっこうバラバラだったと思います。去年の秋頃から1曲ずつつくっていったような感じですね。

――それらの曲を集めてなぜEPという形にまとめたんでしょうか。

藤原:シングルとして1枚1枚出していくのはちょっと大変だなと思いまして。どの曲もほとんど同時期にCMとかで流れ始めたので、同じタイミングでCDが3枚出てきたら「どれ聴きゃいいねん」みたいになるじゃないですか。なので、今回はEPという形の"おまとめプラン"にしました。

――『HELLO EP』というタイトルになった理由は?

藤原:1曲目の「HELLO」が今一番ヒゲダンが表現したい音楽だということと、「新たな世界との対峙(たいじ)」という意味合いもあって。それはこの4曲に共通するものでもあって。例えば、「パラボラ」では突き進むことの大切さや潔さを過去の自分に教えてもらうし、「Laughter」には自分の生きがいが何かを教えてもらうしっていう具合に、自分の知らない世界観との対峙(たいじ)を歌った曲がそろったこともあって、『HELLO EP』がハマるんじゃないかと。ほかのタイトル候補があったわけでもなく。

――今回のタイアップ3曲は全く異なる楽曲でありながら、しっかりと1本の軸がありますね。

藤原:メンバーとしっかり話し合ってアレンジを練る時間があったので、そのおかげで生まれた一貫性なのかなと思います。

――それぞれの楽曲がいいのはもちろんのこと、4曲目にピアノ弾き語りのバラード「夏模様の猫」が入ったことで作品としてのトータル感がグッと高まったなと感じました。

藤原:それはみんなでけっこう話し合ったところで、しっかり1枚の作品として聴いてほしいし、「なんかもう1曲あるほうが幸せだね」っていう話になって。実は、「夏模様の猫」ってアマチュアとしてCDを手売りしていた時代の曲の再録で、この曲が作品としてハマったのはよかったなと思います。EPとして1枚に収められている良さがさらに出たと思います。

サムネイル
Official髭男dism


■「HELLO」は歌詞とメロディとグルーヴ感のうちどれが欠けても成立しない(藤原)

――僕は今作のなかでは「HELLO」が一番好きです。メロディもいいんですけど、この曲を数段上に押し上げているのがビートだと思っていて。ここにたどり着いたのはどういう流れだったんでしょう。

小笹:ドンダンドンダンっていうリズムは決まってたけど、細かいところはレコーディングでめっちゃ詰めました。

松浦:ドラム録りは死ぬほど時間をかけました。激しいところも、平歌のどっしり落ち着いたところも全部録るたびにメンバーに聴いてもらっていました。それで、「こういうふうにしたら?」って逐一提案してもらって、それをたたいてまた聴いてもらって......いいテイクが取れるまで1バースごとに繰り返し録ってましたね。

楢崎:ベースで気をつけたのはドラムの細かいニュアンスぐらいで、僕的にはすごくシンプルなことをやるだけでした。ベースで何かおいしいことをやってやろうっていう気持ちがまったくなかったんですよね。曲全体が鳴ったときに大事なのはドラムなんです。

――そこまで細かくこだわったからこそ、これだけ素晴らしいビートになるんですね。納得です。

藤原:この曲がどっしりしているのには理由があって。この曲で大事にしたかったのは、ともに日々を生きていくときの心強さなんですよね。助けてもらってばかりではなく、自分もその人たちの力になりたい。それは言い換えると切磋琢磨(せっさたくま)ということで、あくまでも対等。だから、肩を並べて歩くときにどんな憂鬱(ゆううつ)が降りかかろうとも、それを跳ね除けていけるような、どっしりと大きく構えていられる曲であってほしかったんです。なので、「HELLO」は歌詞とメロディとグルーヴ感のうちどれが欠けても成立しない、三位一体の曲なんです。なので、この曲を聴いて心強く思ってもらえたらうれしいですね。

■今の自分も未来の自分がお手本にできるような人間でありたい(藤原)

――「パラボラ」は新生活をテーマにした楽曲ということですが。

藤原:カルピスさんのCMとして春夏に流れると伺っていて、最初の話し合いのときに「真っ白さみたいなものがあったらうれしいです」というカルピスさんのチームからの言葉を受けてつくっていったんですけど、新社会人とか大学生みたいに新しい環境に飛び込む人たちばかりに向けた歌が歌いたかったかというとそういうことではなくて。新年度になると誰しも仕切り直し感が出るものだし、僕自身、新○○人というわけではないので、そういうことはあまり気にせずつくろうと思って。

――なるほど。

藤原:この曲で大事にしたかったのは、若かりし頃の自分で。若いときって今よりも物を知らないじゃないですか。やっちゃダメなこともわからないし、やるべきこともわからない。でも、何も知らないからこその無敵感や、その頃の自分がいかに自由に生きていたかということを思い出すことで勇気をもらえたりするんですよ。なので、ここでは昔の自分に教わる"突き進むことの大切さ"を描きたかったんです。

――歌詞にひと言もでてこない"パラボラ"という言葉がタイトルになっているのもいいですね。

藤原:自分の人生がグラフみたいになっているとしたら、どんな曲線を描いて進んでいくんだろうっていう。みんなそれぞれ違う人生を歩んでいるけど、過去、現在、未来の自分はひとつの線の上に成り立っているわけで、昔の自分に救われる今の自分がいるとするなら、今の自分も未来の自分がお手本にできるような人間でありたいっていう。パラボラは放物線という意味なんですけど、この先どういう放物線を描いていこうかという気持ちを込めてこのタイトルになりました。

――サウンド面に関してはいかがですか。「HELLO」と比較的近いつくり方なのかなと感じましたが。

藤原:真っすぐなアプローチ......例えば、生ドラムばかりのアプローチだとこの曲はありふれちゃうんです。なので、ビートメイク色を強くして細かくやらせてもらいました。そっちのほうが今のヒゲダンがやる意味があると思えて。「HELLO」も「パラボラ」もビートのパルスはどちらも大きいですけど、間を細かく埋めていくかどうかというところで違いが出ていますね。

■弦を入れてもよし、管を入れてもよし、4人でしっぽりやってもよし(藤原)

――続いては「Laughter」です。こちらは映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』のテーマソングということで、壮大なロックナンバーになりました。この曲のテーマは?

藤原:東京に出てくるときの心得、みたいな。少なくとも僕にとって、それはこの歌詞にあるようなことだったなって。この曲の歌詞で何を鳥に例えているかというと、"自分がやりたいことへ向かうひたむきな心"なんです。僕が上京前にサラリーマンをやっていた頃、一番しんどかったのは音楽をやる時間がどんどんなくなってしまったことで。そんなときに上京するかどうかという話になって、親は飯が食えるかどうかを心配するし、人によっては「本当にやれんの?」みたいなこともたくさん言ってきて。でも、やれる/やれないじゃなくて、音楽をやる人生が一番幸せだと思ったからこそ東京に出てきたんだっていうことを詞として表現できたらと思って、この曲が出来上がりました。

――この曲にはストリングスが入ってますが、これは最初から頭にあったんですか。

藤原:初期段階から「入れたほうがいいかも」っていう話にはなっていたんですけど、ストリングスよりもバンドサウンドがメインであってほしいという思いがあって。よくハードロックバンドがバラードをやるじゃないですか。映画『アルマゲドン』のAEROSMITHみたいに。あれもストリングスが入ってるけど、しっかりバンドサウンドが主軸にありますよね。ああいう壮大さがほしかったんです。

松浦:さとっちゃん(藤原)に質問したいことがあって、これはどこまで完成系を読んでつくってたの?

藤原:ストリングスが入れば壮大にはなるからね。今回はストリングスチームにざっくりと方向性を伝えてたんですけど、いざ録ってもらったらすごかったですね。僕、涙が出ましたもん。「なんて美しいんだろう!」って。僕もこんなにヤバいストリングスが入るなんて想像してなかったですね。

楢崎:最初、ストリングスはチェロ隊とかビオラ隊みたいな低音にうまみがある、オーケストラみたいなイメージでサビを作ってたんだよね。ああいう壮大さを低い音で表現するっていうイメージを共有できていたのはけっこうデカかったと思う。

藤原:クラシカルっていうのがよかったんだろうね。こういうことができるバンドでよかったなと思いました。弦を入れてもよし、管を入れてもよし、4人でしっぽりやってもよし、みたいな。この曲には音楽の魅力が詰まってますね。

――今回、CDの初回限定盤には、2月10日に行われた「Official髭男dism Tour 19/20 -Hall Travelers-」のパシフィコ横浜 国立大ホール公演の映像とツアーの裏側を収めたDVDが付きます。見どころを教えてもらえますか。

藤原:アルバム曲を特に楽しんでもらえたらと思っています。延期になったアリーナツアーではアルバム曲をたくさんやろうと思ってたし、テレビでアルバム曲を歌唱させてもらう機会もなかなかないですから、ここで楽しんでいただけたらと思います。

※文中の「楢崎」の「崎」は「たつさき」が正式表記

サムネイル
Official髭男dism


【Official髭男dism特集】GYAO!独占、ここでしか見られないライブ映像>>

Official髭男dism公式サイト(外部サイト)>>

Official髭男dism公式Twitter(外部サイト)>>


■Official髭男dism(オフィシャルヒゲダンディズム)
2012年結成。愛称は「ヒゲダン」。このバンド名にはひげの似合う歳になっても、誰もがワクワクするような音楽をこのメンバーでずっと続けていきたいという意思が込められている。2018年4月にメジャーデビューを果たし、昨年発表したメジャーファーストアルバム『Traveler』が大ヒット。日本の音楽シーンを代表するバンドとして確固たる地位を確立した。ブラックミュージックをはじめ、さまざまなジャンルをルーツとした音楽で全世代から支持を集め続けている。藤原の座右の銘は、「『キレイ』とは傷跡がないことじゃない、傷さえ愛しいという『キセキ』だ。(「ビンテージ」の歌詞より)」

■トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

(取材・文/阿刀DA大志)