【インタビュー】松本穂香、女優として今も心に残る言葉とは?「あくまで仕事」の姿勢を大切にする理由

2020/10/19 11:00

女優・松本穂香は、23歳という年齢にして、"演技派"というポジションを着実に築いている。革命的プロデューサー・角川春樹が「生涯最後の映画監督作」と語る映画『みをつくし料理帖』(10月16日公開)では主演に抜てきされるなど、彼女にとって2020年がとくに飛躍の年であったことは間違いない。バラエティ番組などでの恋愛トークも話題になっている彼女の素顔、そして意外な役者観とは――?

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女優・松本穂香


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■自分の仕事に対する、恋人の理想的な距離感とは?

――映画『みをつくし料理帖』では、主人公・澪をめぐる恋模様も描かれています。松本さんご自身としては、窪塚洋介さん演じる御膳奉行の小松原と、小関裕太さん演じる町医者・永田源斉のふたり、どちらの男性に惹(ひ)かれますか?

松本:私としては、小松原ですかね。劇中で、小松原が澪の作った料理を食べて『面白い』と言うシーンがあるんです。小松原って、他の人とはちょっと違った見方をしてくれる人なんです。澪にとってすごく大事なものである料理を、彼はちゃんと見てくれているように感じます。私自身も小松原みたいな人は、そばにいてほしいかもしれません。

――小松原は、言葉を尽くして澪に寄り添ってくれるタイプではないですが、時折ハッとするような言葉をくれますね。

松本:そうですね。小松原は、澪が迷ったり困ったり、彼女が重要な局面に立たされたときに、そばにいてくれるんです。もし小松原みたいな人が現れたら、私もきっと澪のように惹(ひ)かれるかもしれません...。でも、結局一緒にいて幸せになれるのは、いちずに思ってくれる源斉先生かもしれませんが(笑)。劇中で描かれている通り、小松原を慕ったところで、身分の違いで苦い恋になるだろうし......。

――ご自身では、女優という仕事に対する、パートナーの理想的な距離感はありますか?

松本:私の仕事に興味を持ってくれるのはうれしいです。自分のお芝居を『すてきだ』と言ってくれるのは、友達でもありがたいことなので、好きな人から言われたら、なおさらうれしいと思います。でも出演した作品やトーク番組を全部チェックまではしなくていいかな。私が『見てほしいな』と感じたものを見てくれるのはありがたいですが、もっと他のことにも時間を使ってほしい(笑)。

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「そこまで爽やかでも純粋でもないかと思います(笑)。」


――これまで演じてきた役柄から、松本さんに「爽やか」「純粋な方」というイメージがあったのですが、ご自身の恋愛観はどんなものでしょうか?

松本:そこまで爽やかでも純粋でもないかと思います(笑)。うーん......。自分からいくタイプだと思いますが、相手が嫌じゃない程度の距離感が大事かなと。

■中村獅童の激怒演技にため息「本当にすごかった......」

――映画『みをつくし料理帖』も含め、主演作を着実に重ねていますね。

松本:正直あまり実感がないんです。ただ、いただいたお仕事をやらせてもらううちに、気づいたら主演作品がいくつかあって......。周りからそういうふうに言われて初めて『ああ、そうだな』と気づきます。なので、たまに不思議な気持ちになります。トーク番組に出演させていただくのも『何で私なんだろう?』と感じますし、出演している映画やドラマもいろいろ考えてみたら不思議な気持ちになりますね。

――過去のインタビューで、学生時代は人前に出るタイプでなく、控えめな性格だったと話していましたね。

松本:その頃に比べて、自分の中で何かが大きく変わったわけではありません。もしかしたら、今も根っこの部分は変わらなくて、昔の自分の延長線上にいるだけなのかも。あと、"人前に出ている"という感覚がそれほどないのかもしれません。実際の撮影現場は、同じ演技を何度も繰り返したりして、結構地味なものなんです(笑)。

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「人に作ってプレゼントするのが好きなんです。」


――今回の映画『みをつくし料理帖』には、豪華キャストが集結しています。

松本:共演者の方々の演技は非常に勉強になりました! とくに中村獅童さん演じる又次が激怒するシーンは、本当にすごかった......。本番の獅童さんの迫力は、自分が今まで感じたことがないくらい鬼気迫るものでした。あとは、藤井隆さん演じる清右衛門と澪の対決シーンも印象的でした。藤井さんは角川監督からずっと『おまえはコメディ担当だ』と言われていて、現場でずっと笑いを取られていたんです。でも、ラストの対決シーンでは、これまでと全く違う芝居をして、現場でも絶賛されていました。役者としての振り幅みたいなものを感じました。

――撮影期間中の息抜きは、どういうことをされているのでしょうか?

松本:お風呂にゆっくりつかるとか、あとはお菓子作りですね。人に作ってプレゼントするのが好きなんです。『みをつくし料理帖』の現場でも、劇中に登場する『こぼれ梅』を使ったクッキーを差し入れました。

■人生いろいろある中に、役者"も"ある

――お話を伺って感じたことですが、活躍ぶりと年齢からすると、意外なほど落ち着いていらっしゃいますね。あの、浮かれるようなときはないんでしょうか......?

松本:浮かれるとき......(笑)。多分ないと思います。傍から見たら浮かれて見えることはあるのかもしれないですが、あまり自分ではそういう状態にならないように気を付けています。役者という職業は、すごく特別なものに感じられるかもしれませんが、自分としては、『仕事』という感覚でいるのが大事なのかなと思うんです。

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「あくまで仕事、というスタンスが結果的に良いのかなと思います。」


以前とある方から『役者というのは人生ではない』と言われて、その言葉が心の中に残っています。あくまで自分の人生いろいろある中に、仕事として役者"も"あるという姿勢がいいということなのかなと思っています。『役者として人生を生きる』『役者としての生きざま』みたいな言葉ってよく聞きますし、自分もそういうイメージを持っていましたが、たしかにずっとそんな気持ちでいたらつぶれてしまいかねない。あくまで仕事、というスタンスが結果的に良いのかなと思います。

――今後のお仕事の展望は?

松本:声のお仕事などを最近やらせてもらっているので、また声優もやってみたいなと思います。あとは"前向きないい子"のような役を続けて演じさせていただいているので、今度はそうじゃない役もやってみたいですね。幅広くやれたらいいなと思います。大きな目標は持っていないかもしれませんが、ちょっとずつ、なにかしら良い方向に成長していきたいです。

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松本穂香


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■松本穂香(まつもと・ほのか)
1997年2月5日生まれ、大阪府出身。2015年、主演短編映画『MY NAME』で女優デビュー。2017年度前期に放送されたNHK連続テレビ小説『ひよっこ』で、ヒロインの同僚・青天目澄子役を演じて話題になる。2020年は『his』や『青くて痛くて脆い』といった出演映画のほか、『酔うと化け物になる父がつらい』、『君が世界のはじまり』、『みをつくし料理帖』と主演映画が立て続けに公開されている。

■トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
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作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

(取材・文/藤原利絵(HEW))
(撮影/ナカムラヨシノーブ)