憎悪は快感へと変わり..."青春映画の旗手"藤田敏八の初ロマンポルノ『八月はエロスの匂い』を無料配信中

2021/4/28 18:43

映画『八月はエロスの匂い』(1972年)を動画配信サービス「GYAO!」にて5月21日23時59分まで無料配信中。"青春映画の旗手"藤田敏八監督による初の日活ロマンポルノ作品で、もはや不条理とも言えるヒロインの複雑な心理が描かれている。

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映画『八月はエロスの匂い』


やり場のない気持ちを周囲の男たちとの情事にぶつけるヒロイン。再会した強盗犯と激しく求め合い......宝塚出身の女優がヒロイン役を演じた映画『八月はエロスの匂い』を無料配信中>>

デパートガールの中原圭子は、少年に刃物を突きつけられ、レジの金を強奪される。その後、偶然にも少年と再会した圭子は、彼を取り押さえた瞬間、憎悪が快感へと変化するのを感じたのだった――。

本作でメガホンを取ったのは、日活青春映画の最高傑作と名高い『八月の濡れた砂』で知られる藤田敏八監督。藤田監督が『八月の濡れた砂』から1年間の沈黙を破り、満を持して発表した初ロマンポルノが『八月はエロスの匂い』なのだ。

日活ロマンポルノというフィールドにあっても、藤田監督ならではの作家性が色濃く満ちている本作。まずヒロイン・圭子の言動は、観客にとって、なかなか共感しづらいものではないだろうか。周囲の男たちと気軽に関係を持つ一方で、圭子にはどこか冷めたところがある。ヒッピー風の若者たちなど、70年代の景色の中で、圭子のシラけたような表情が不思議と印象に残る。

しかし、そんなヒロインは、なぜか自身にケガを負わせた強盗犯に心を奪われ......。再会したふたりが激しく求め合う展開を「唐突」と捉えることもできるだろうが、この唐突さこそが、愛というものの本質かもしれない。宝塚歌劇団出身の女優・川村真樹が、小悪魔的なヒロインを体当たりで熱演している。

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映画『八月はエロスの匂い』


やり場のない気持ちを周囲の男たちとの情事にぶつけるヒロイン。再会した強盗犯と激しく求め合い......宝塚出身の女優がヒロイン役を演じた映画『八月はエロスの匂い』を無料配信中>>

(文/原田美紗@HEW