知的障害者の兄とその弟、デリヘル嬢の共同生活...鬼才・白石和彌の長編デビュー作『ロストパラダイス・イン・トーキョー』

2021/5/19 18:07

映画『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(2010年)を動画配信サービス「GYAO!」にて6月11日23時59分まで無料配信中。鬼才・白石和彌監督の長編デビュー作である同映画では、知的障害者の兄とその弟、デリヘル嬢の絆が描かれている。

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『ロストパラダイス・イン・トーキョー』


「俺さ、金で兄ちゃんを売ったのかな」......知的障害者の兄とデリヘル嬢の撮影に、弟は思い悩み......鬼才・白石和彌の長編デビュー作『ロストパラダイス・イン・トーキョー』を無料配信中>>

白石和彌監督は、『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』『孤狼の血』などを世に送り出し、邦画屈指の鬼才として知られている。長編デビュー作『ロストパラダイス・イン・トーキョー』は、ロッテルダム国際映画祭、釜山国際映画祭、ドバイ国際映画祭に出品され、国外でも評価された。

知的障害者である兄の実生(ウダタカキ)とふたりで暮らす弟の幹生(小林且弥)は、性欲処理ができない兄のために、デリヘル嬢のマリン(内田慈)を招き入れる。彼女は、いつか自分だけが住む島を購入する夢があり、地下アイドルとして活動しながら風俗で働いていた。やがて兄弟は、マリンと共同生活を始める。

まずセンセーショナルなあらすじに誰もが衝撃を受けるはず。しかし、3人の奇妙な共同生活は、意外にも穏やかに進んでいく。だからこそ、ドキュメンタリー作家の登場によって起きる諸々の展開にはハラハラさせられる。ドキュメンタリー作家は「仕込みではなく本物の絡みが見たい」と、高額の報酬を提示し、マリンに撮影の話を持ちかけるのだ。夢を叶(かな)えるために大金が必要なマリンは、悩んだ末に――。

幹生の「俺さ、金で兄ちゃんを売ったのかな」というセリフが胸に突き刺さる。はたして社会の片隅で生きる男女3人が迎える結末とは? アンダーグラウンドな描写を通して、白石監督の弱者に寄り添う姿勢が感じられる。鑑賞後は、良い意味でモヤモヤが残る映画だ。

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『ロストパラダイス・イン・トーキョー』


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『ロストパラダイス・イン・トーキョー』


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(文/藤原利絵@HEW