【インタビュー】西片梨帆「傷つけることもできるし、お守りみたいにもなると思います」
2021/10/27 12:00
動画配信サービス「GYAO」、ストリーミングサービス「AWA」のフォローアップのもと、日本工学院専門学校の学生がアーティストインタビューを行う、ネクストブレイクアーティストをプッシュするコラボレーション企画『G-NEXT』。
今回の選出アーティストは、10月27日にファーストフルアルバム『まどろみのひかり』をリリースした西片梨帆。本作には聴き手に優しく寄り添い、時に鋭利のある歌詞で魅了する珠玉の11曲が収録されている。11月には東名阪ツアーを開催。写真と詩の展示や3MAN LIVE、バンド編成 ONEMAN LIVEと公演内容は多様。ソングライティングだけでなく、執筆活動やデザインなど幅広く活動をしている彼女にとって、音楽や言葉とは何か訊(き)いた。
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――早速ですが、音楽活動を始めたきっかけから伺えますか?
高校の友達がギターをやっていて、その子がステージに立って自分で作った曲を披露してたんです。それを見て、あーなんかいいなぁ、やってみようかなって。当時は別に将来のこととか考えず、興味で始めたって感じです。
――音楽を作る際は、何を意識されているのでしょうか?
まずメロディと詞がうまい感じでハマるかっていうのを考えています。でも、そこに収まりきらない物語が私の中にはあって、一曲でそれが終わるというよりも作品全てがつながっているような感じで作曲をしていますね。その延長線上みたいなものを文章や本、絵で表現しています。私は本を読むことが好きなんですけど、本を読むことと詩を書くことは近いような気がしています。
――文章や絵を含め多彩なセンスをお持ちですよね。ものを作るときは何を考えていたり、大切にしているのですか?
喫茶店に行った時は自分と向き合う時間にしていて、一年後どうしていたいかとか、次はどういうものを作ろうかなって考えています。そうするとワクワクして座っていられなくなるというか、いてもたってもいられなくなって、そのままパって出て行ってサイクリングしたり散歩したりして。そんな風にワクワクしながら考えを巡らせています。作品を作るには、やっぱり自分の体験が元にあるっていうことが一番です。自分が思っていることや核となっているものはそこからきてるものなので。あとは、私の言葉であることも大事にしていますね。
――思っていることというのは?
人と会話して感じることだったりかな。私は男女の関係無く大切だなって思う人に対しては、自分のエネルギーを使ってその人のことを知ろうとしたり、もしくは自分を知ってほしいって気持ちが大きいんです。でも、大事に思っていても他人ではあるので、そこに考え方の違いはあって、その会話の中で見つけた煌(きら)めきとか発見みたいなものを感じたいんですよね。
――そうなんですね。最新アルバム「まどろみのひかり」についてもお聞きしたいのですが、このタイトルはどういったイメージで?
前向きな光を見つけていきたいなって思ったのがきっかけです。私自身、平凡な日々の中にある幸福を見つけてきたなと感じていて。平凡な日々って退屈なときがあるじゃないですか。そのまどろんだ日々の中にある小さな光みたいなものを幸せに思いたい、前向きになってみようという思いが詰まったタイトルです。
――その思いはジャケット写真からも伝わりますね。1曲目の「まちのなか」はポップでキャッチーな曲ですが、作ろうと思ったきっかけというのは?
まず私の中で、自分っていうものをもっと見つけていこうというのがあって...。就職している友達がいろんなことに悩んでいて、その子は帰りの電車で音楽を聴くんだけど、日本語が入ってくる曲だと1日働いて疲れているから、言葉がつらい。だから、ヒーリングミュージックとかインストの曲を聴いてるって言われて。
――友人の言葉を聞いてどう思いましたか?
私は言葉をなによりも大事にしていた部分があったので、そういう風に考える人もいるんだなって衝撃的でした。私は耳に引っかかるような詩を描くことが多いんです。だけど、言葉の美しさとして流れていくような、でもまた口ずさみたくなるみたいなものを書いてみようかなってこの詩を書きました。この曲はその子に聴いてほしい。
――友人に向けて作られた楽曲なんてすてきですね。その友人のようにさまざまな考えを持つ方がいると思いますが、西片さんにとっての"言葉"とは?
人に食らわせるというか、傷つけることもできるし、お守りみたいにもなると思います。私は、なんでも許してくれる人のことを傷つけてしまったことがあるんですけど、かなり食らわせてしまっていて...。でも、謝らなきゃいけないのに、そこに鮮やかな、美しい何かを感じてしまって。人としては最低だと思うんですけど、その人の本当を初めて見られというか。傷つけることと言葉で守ることって反対みたいに思うけど、実は同じなんじゃないかなって、言葉はそういう風にとらえていますね。
――なるほど。「水槽の脳」は曲名が特徴的ですね。
"水槽の脳"って哲学の仮説の1つで、今見てる世界が実は水槽の中で脳が見ている夢じゃないかっていう。その仮説を元に作りました。インストミュージックで表現したい事と共鳴し合うようにできた曲ですね。
――新しいことに挑戦されている印象を受けるアルバムですが、作る前と比べて変化したことはありますか?
前向きになれたっていうのが変化としてあります。ライブに来てくれるファンの方は私が歌うと泣いてくれたり、私と同じくらいの女の子が"好きです"って来てくれることがすごく嬉しくて。ただ自分に自信がないから、なんで好きなんだろうって思ったりして。だけどそう思うことって、私の曲を宝物みたいに毎日聴いてくれる人たちに失礼じゃないかなって。自分が勇気とか前向きな気持ちを持つだけで私自身も景色が変わるし、私が歌うことで与えられるものも、より大きくなるんじゃないかなって。
――前向きな変化を経て完成したアルバムについて何を思いますか?
制作期間が長かったこともあるんですけど、今まで作った作品の中で1番愛情を持っていて、多分、今死んでも悔いはないだろうみたいな作品になりました。またやりたいことが出てきちゃうんですけど、今の時点で作りたいものというか、残せるものは残せたんじゃないかなと。
――11月から東名阪ツアーを控えていらっしゃいますが、今の率直な気持ちを聞かせてください。
ずっとライブをやりたかったので、本当に嬉しく思っています。10月に大阪でライブをしたときに、歌える場所があるということを本当にありがたく思えたというか、歌えるって本当にいいなと。自分の音楽を一番鮮やかに伝えられる方法がライブ空間だと思うので。いっぱいライブをすることで自分の存在証明じゃないですけど、自分の生活の中にすごく大事なものとして入っていて。生きていることとライブは、私にとってすごく近いことなので、一番生きている感じがします。
――では最後の質問になりますが、あなたにとって音楽とは?
高校生の時に曲を作って始めたというのがきっかけではあるのですが、あまりその頃は友達が出来なくて。そういうところで音楽に自分が救われていたというか、歌うことでどこか光を見つけようとしていたところがありました。今も今で、やっぱり悩んでいることはあって、自分を終えるまで悩みは尽きないと思います。でも、それを歌にすることで明日も頑張ってみようと思えるんです。それはきっと曲を聞いてくれる人や、自分が大事に思う人も同じかなと。それぞれの悩みを持った彼らが、私が歌うことで少しでもそういう風に思ってくれたらいいな。
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■商品情報
10月27日リリース ファーストフルアルバム『まどろみのひかり』
■西片梨帆(にしかた・りほ)
2015年に梨帆としての活動を始め、初めて作った曲で「出れんの!?サマソニ」に応募し、SUMMER SONIC 2015のステージに立つ。2017年、ファーストミニアルバム「行けたら行くね」を全国リリース。インディーズ時代の楽曲「元カノの成分」は100万回超再生されている。2019年、活動名義を西片梨帆に変更し、ソングライティン グだけでなく、執筆活動やデザインなど幅広く活動をしている。9月23日メジャー・デビューミニアルバム 『彼女がいなければ孤独だった』を日本コロムビア/BETTER DAYSレーベルから発売。2021年5月よりライブ活動を再開。6月23日「そのままでいてね」を配信リリース。 7月2日下北沢MOSAiCにてワンマンLIVE「恍惚の人」を開催、SOLDOUTで成功させた。7月28日「愛は4年で終わる」を配信リリース。5曲入りEP「たましいはここ、みえるの ?」CDを大阪府・枚方蔦屋書店限定盤 として8月25日にリリース、9月22日には同作品の配信開始。
■トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。
取材:安東梨那、藤原彩友香、三原美優(日本工学院専門学校 コンサートイベント科)
今回の選出アーティストは、10月27日にファーストフルアルバム『まどろみのひかり』をリリースした西片梨帆。本作には聴き手に優しく寄り添い、時に鋭利のある歌詞で魅了する珠玉の11曲が収録されている。11月には東名阪ツアーを開催。写真と詩の展示や3MAN LIVE、バンド編成 ONEMAN LIVEと公演内容は多様。ソングライティングだけでなく、執筆活動やデザインなど幅広く活動をしている彼女にとって、音楽や言葉とは何か訊(き)いた。

西片梨帆
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――早速ですが、音楽活動を始めたきっかけから伺えますか?
高校の友達がギターをやっていて、その子がステージに立って自分で作った曲を披露してたんです。それを見て、あーなんかいいなぁ、やってみようかなって。当時は別に将来のこととか考えず、興味で始めたって感じです。
――音楽を作る際は、何を意識されているのでしょうか?
まずメロディと詞がうまい感じでハマるかっていうのを考えています。でも、そこに収まりきらない物語が私の中にはあって、一曲でそれが終わるというよりも作品全てがつながっているような感じで作曲をしていますね。その延長線上みたいなものを文章や本、絵で表現しています。私は本を読むことが好きなんですけど、本を読むことと詩を書くことは近いような気がしています。
――文章や絵を含め多彩なセンスをお持ちですよね。ものを作るときは何を考えていたり、大切にしているのですか?
喫茶店に行った時は自分と向き合う時間にしていて、一年後どうしていたいかとか、次はどういうものを作ろうかなって考えています。そうするとワクワクして座っていられなくなるというか、いてもたってもいられなくなって、そのままパって出て行ってサイクリングしたり散歩したりして。そんな風にワクワクしながら考えを巡らせています。作品を作るには、やっぱり自分の体験が元にあるっていうことが一番です。自分が思っていることや核となっているものはそこからきてるものなので。あとは、私の言葉であることも大事にしていますね。

――思っていることというのは?
人と会話して感じることだったりかな。私は男女の関係無く大切だなって思う人に対しては、自分のエネルギーを使ってその人のことを知ろうとしたり、もしくは自分を知ってほしいって気持ちが大きいんです。でも、大事に思っていても他人ではあるので、そこに考え方の違いはあって、その会話の中で見つけた煌(きら)めきとか発見みたいなものを感じたいんですよね。
――そうなんですね。最新アルバム「まどろみのひかり」についてもお聞きしたいのですが、このタイトルはどういったイメージで?
前向きな光を見つけていきたいなって思ったのがきっかけです。私自身、平凡な日々の中にある幸福を見つけてきたなと感じていて。平凡な日々って退屈なときがあるじゃないですか。そのまどろんだ日々の中にある小さな光みたいなものを幸せに思いたい、前向きになってみようという思いが詰まったタイトルです。
――その思いはジャケット写真からも伝わりますね。1曲目の「まちのなか」はポップでキャッチーな曲ですが、作ろうと思ったきっかけというのは?
まず私の中で、自分っていうものをもっと見つけていこうというのがあって...。就職している友達がいろんなことに悩んでいて、その子は帰りの電車で音楽を聴くんだけど、日本語が入ってくる曲だと1日働いて疲れているから、言葉がつらい。だから、ヒーリングミュージックとかインストの曲を聴いてるって言われて。
――友人の言葉を聞いてどう思いましたか?
私は言葉をなによりも大事にしていた部分があったので、そういう風に考える人もいるんだなって衝撃的でした。私は耳に引っかかるような詩を描くことが多いんです。だけど、言葉の美しさとして流れていくような、でもまた口ずさみたくなるみたいなものを書いてみようかなってこの詩を書きました。この曲はその子に聴いてほしい。
――友人に向けて作られた楽曲なんてすてきですね。その友人のようにさまざまな考えを持つ方がいると思いますが、西片さんにとっての"言葉"とは?
人に食らわせるというか、傷つけることもできるし、お守りみたいにもなると思います。私は、なんでも許してくれる人のことを傷つけてしまったことがあるんですけど、かなり食らわせてしまっていて...。でも、謝らなきゃいけないのに、そこに鮮やかな、美しい何かを感じてしまって。人としては最低だと思うんですけど、その人の本当を初めて見られというか。傷つけることと言葉で守ることって反対みたいに思うけど、実は同じなんじゃないかなって、言葉はそういう風にとらえていますね。
――なるほど。「水槽の脳」は曲名が特徴的ですね。
"水槽の脳"って哲学の仮説の1つで、今見てる世界が実は水槽の中で脳が見ている夢じゃないかっていう。その仮説を元に作りました。インストミュージックで表現したい事と共鳴し合うようにできた曲ですね。

――新しいことに挑戦されている印象を受けるアルバムですが、作る前と比べて変化したことはありますか?
前向きになれたっていうのが変化としてあります。ライブに来てくれるファンの方は私が歌うと泣いてくれたり、私と同じくらいの女の子が"好きです"って来てくれることがすごく嬉しくて。ただ自分に自信がないから、なんで好きなんだろうって思ったりして。だけどそう思うことって、私の曲を宝物みたいに毎日聴いてくれる人たちに失礼じゃないかなって。自分が勇気とか前向きな気持ちを持つだけで私自身も景色が変わるし、私が歌うことで与えられるものも、より大きくなるんじゃないかなって。
――前向きな変化を経て完成したアルバムについて何を思いますか?
制作期間が長かったこともあるんですけど、今まで作った作品の中で1番愛情を持っていて、多分、今死んでも悔いはないだろうみたいな作品になりました。またやりたいことが出てきちゃうんですけど、今の時点で作りたいものというか、残せるものは残せたんじゃないかなと。
――11月から東名阪ツアーを控えていらっしゃいますが、今の率直な気持ちを聞かせてください。
ずっとライブをやりたかったので、本当に嬉しく思っています。10月に大阪でライブをしたときに、歌える場所があるということを本当にありがたく思えたというか、歌えるって本当にいいなと。自分の音楽を一番鮮やかに伝えられる方法がライブ空間だと思うので。いっぱいライブをすることで自分の存在証明じゃないですけど、自分の生活の中にすごく大事なものとして入っていて。生きていることとライブは、私にとってすごく近いことなので、一番生きている感じがします。

――では最後の質問になりますが、あなたにとって音楽とは?
高校生の時に曲を作って始めたというのがきっかけではあるのですが、あまりその頃は友達が出来なくて。そういうところで音楽に自分が救われていたというか、歌うことでどこか光を見つけようとしていたところがありました。今も今で、やっぱり悩んでいることはあって、自分を終えるまで悩みは尽きないと思います。でも、それを歌にすることで明日も頑張ってみようと思えるんです。それはきっと曲を聞いてくれる人や、自分が大事に思う人も同じかなと。それぞれの悩みを持った彼らが、私が歌うことで少しでもそういう風に思ってくれたらいいな。
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■商品情報
10月27日リリース ファーストフルアルバム『まどろみのひかり』
■西片梨帆(にしかた・りほ)
2015年に梨帆としての活動を始め、初めて作った曲で「出れんの!?サマソニ」に応募し、SUMMER SONIC 2015のステージに立つ。2017年、ファーストミニアルバム「行けたら行くね」を全国リリース。インディーズ時代の楽曲「元カノの成分」は100万回超再生されている。2019年、活動名義を西片梨帆に変更し、ソングライティン グだけでなく、執筆活動やデザインなど幅広く活動をしている。9月23日メジャー・デビューミニアルバム 『彼女がいなければ孤独だった』を日本コロムビア/BETTER DAYSレーベルから発売。2021年5月よりライブ活動を再開。6月23日「そのままでいてね」を配信リリース。 7月2日下北沢MOSAiCにてワンマンLIVE「恍惚の人」を開催、SOLDOUTで成功させた。7月28日「愛は4年で終わる」を配信リリース。5曲入りEP「たましいはここ、みえるの ?」CDを大阪府・枚方蔦屋書店限定盤 として8月25日にリリース、9月22日には同作品の配信開始。
■トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。
取材:安東梨那、藤原彩友香、三原美優(日本工学院専門学校 コンサートイベント科)